べっこう色の記録

かつては日記でしたが、現在は数学のことを多く書いています

2017-01-01から1ヶ月間の記事一覧

カップル成立の確率

安田亨先生の伝説の良問100を読んでいたら,次の問題があった。問. 男性が2人,女性が2人いる。各々は自分の異性をでたらめに1人指名する。 互いに相手を指名すればカップルが成立するものとして, ちょうど1組カップルが成立する確率を求めよ。n人まで一般…

微分と積分の交換可能の条件

ルベーグの優収束定理を用いて,微分と積分の交換可能の条件を求める.定理 上の関数が次の条件を満たすとする. 1) 各に対してはで積分可能である. 2) は存在し,ある1変数関数でとなるものが存在する. このときが成立する.

ルベーグ積分の収束定理(ルベーグの優収束定理)

定理(ルベーグの優収束定理) 関数列は次の条件を満たすとする. 1) a.e. 2) あるですべてのに対して a.e.を満たすものが存在する. このときが成立する.注意 1) 関数列にの条件を課す必要はない. 2) と積分との交換がこのような単純な条件でできることが…

ルベーグ積分の収束定理(ファトゥの補題)

補題(ファトゥの補題) ならば が成り立つ.(証明) 関数列を考える.各に対して であるから,単調収束定理が使える. で従う.(証明終)

ルベーグ積分の収束定理(ベッポ・レヴィの単調収束定理)

ベッポ・レヴィの定理を用いると単調収束定理が証明できる.定理(単調収束定理) に対して が成り立つ.(証明) とおく. に注意してベッポ・レヴィの定理を用いればよい.(証明終)

ルベーグ積分の収束定理(ベッポ・レヴィの定理)

単調増加な列に対する収束定理を取り扱う. 収束定理とは,と積分の順序交換を保証する定理である.定理(ベッポ・レヴィの定理) 非負可測関数列に対して, が成り立つ.この等式の右辺または左辺が無限大であれば,両辺共に無限大となる.積分範囲が示され…

ルベーグ積分の定義

いよいよルベーグ積分の定義に入っていこう.[1] 非負単関数 非負単関数に対して,そのルベーグ積分を と定義する.[2] 非負可測関数 非負可測関数に対して,そのルベーグ積分を はを満たす非負値単関数 と定義する.可測集合上の積分はに指示関数を乗したも…

単関数列と可測関数

定義(単関数) 値を有限個しか持たない関数を単関数という.ただし値としてを許す. 数式で表すとが単関数であるとは次のとおりである. および相異なる実数を用いて とかけることである.ここでは集合の指示関数(特性関数)といい のときで,のときを満た…

リーマン積分からルベーグ積分への転換は「たて」から「よこ」へにある

このルベーグ積分の話を始めた2年以上前の記事を見ると次のようなことが書いてある.「すべての話の始まりは,様々な図形の面積・体積を測るにはどうすればいいかということだ. 素朴に考えると,長方形の面積・体積を定義し, 他の図形は長方形の近似で考…