安田亨先生の伝説の良問100を読んでいたら,次の問題があった。
問.
男性が2人,女性が2人いる。各々は自分の異性をでたらめに1人指名する。
互いに相手を指名すればカップルが成立するものとして,
ちょうど1組カップルが成立する確率を求めよ。
n人まで一般化する方法も書いてあり,包除原理で計算している。
定理(ルベーグの優収束定理)
関数列は次の条件を満たすとする.
1) a.e.
2) あるですべてのに対して a.e.を満たすものが存在する.
このときが成立する.
注意
1) 関数列にの条件を課す必要はない.
2) と積分との交換がこのような単純な条件でできることが,ルベーグ積分が優れている点のひとつである.
(証明)
a.e
より
a.e.
であるから
a.e.
ファトゥの補題から
より
から
である.また
より
から
となるので
である.つまり
でこれはを意味する.(証明終)
系(有界収束定理)
で,関数列は次の条件を満たすとする.
1) はで概収束する.
2) あるですべてのに対して a.e. となるものが存在する.
このときが成り立つ.
[1] 非負単関数
非負単関数に対して,そのルベーグ積分を
と定義する.
[2] 非負可測関数
非負可測関数に対して,そのルベーグ積分を
はを満たす非負値単関数
と定義する.可測集合上の積分はに指示関数を乗したものの積分を考えればよい.
[3] 一般の関数
実数値可測関数はと非負の部分と負の部分に分けてそれぞれに[2]を適用すればよい.ただしいずれの積分値も無限大に発散する場合には定義しない.
複素数値の場合には実部と虚部に分ければ,それぞれが実数値ゆえ同様である.
これでひとまず積分の定義は終わった.
右半開区間の定義から始めて,遠くへ来たわりには定義はあっけないものという感じがする.
それもそのはずで,ここまでルベーグ測度を十分に整備してきたからこそである.
定理
を満たす単関数列が存在すれば,
が成り立つ.
定義
はルベーグ可積分関数であると定義する.
ただしルベーグ可積分関数とはルベーグ積分の値が有限である関数のことである.
この集合を a.e. という同値関係で割る.
定義
と定義する.
左辺はなどとも書かれる.