大変有名な絶対不等式である.
定理.(相加・相乗平均の不等式)
を以上の自然数とする.各に対して
が成り立つ.また等号が成り立つ条件はのときで,またそのときに限る.□
の場合はこの記事で証明した。
orz107orz.hatenablog.com
この一般の場合の証明は,有名な後ろに跳ねる数学的帰納法を用いたものや,
対数関数が凸関数であることを利用した証明が知られている.
今回はより発想のしやすい微分法を用いた証明を書く.
(証明)
証明すべき不等式について,をすべてに置き換え,分母のを払って,
と変形する.この不等式を示せばよい.
数学的帰納法による.n=2については
による.で成り立つと仮定する.すなわち
が成り立つと仮定する.ここで
各をすべてで置き換えると
…(☆)
が成り立つ.
関数を次のように定義する.
関数をで微分する.
,
.
二階微分について,であるから一階微分は単調増加関数である.
またかつである.
よって中間値の定理を用いるととなるが一意的に存在する.
を解き,を得る.
ゆえに,で関数は減少し,で関数は増加するから
関数の最小値はであり,(☆)より
.
これは関数がすべてのに対して,0以上になることを意味する.
したがって,数学的帰納法よりすべての2以上の自然数に対して不等式が成立することが示された.(証明終)