べっこう色の記録

かつては日記でしたが、現在は数学のことを多く書いています

自然数のこと

初等整数論をやらなきゃいかん,と決意して勉強し始めたところ,除法の原理の証明で行き詰った.

定理.(除法の原理)
自然数 a,b に対して
  a=bq+r
を満たす整数 q,r が存在する.ただし 0 \leq r < b である.

ネットで検索したら,この証明はペアノの公理から始めて,最小値原理を認めなければ証明できないようだ.

最小値原理
自然数の集合の部分集合には最小値が存在する.□

何より知らなかったのは最小値原理と数学的帰納法が同値であることだ.
したがっていずれか一方を認めなければならない,というわけだ.

数学的帰納法から最小値原理を証明する.
感覚的には次のようにして証明できると考えられる.
集合A \neq \emptyset自然数の集合\mathbb{N}の部分集合とする.
まず,1が集合Aに属するか否かを調べ,属していれば最小値となる.
属していない場合は2が属するか調べる.
以下繰り返し,初めて属している元が現れたときそれが最小元となる.

ここの繰り返し,の部分にあいまいさが残っている.

絶対値の初めの一歩

絶対値について書いておく.

定義.(絶対値)
実数xに対して,x \geq 0ならばxx < 0 ならば-xxの絶対値という.
xの絶対値を記号| x |で表す.□

例.
(1) |3|=3
(2) |-5|=-(-5)=5
(3) |1-\sqrt{2}|
このような問題は慣れればすぐにはずせる.しかし慣れないうちは以下のようにする.
(解)
\sqrt{2}=1.41 \cdotsであるから1-\sqrt{2}<0である.
よって|1-\sqrt{2}|=-(1-\sqrt{2})=\sqrt{2} -1である.

もしくは次のようにする.

((3)の別解)
(\sqrt{2})^2=2の前後の平方数を考えると1<2<4であるから,
辺々ルートをとって1<\sqrt{2}<2から,1-\sqrt{2}<0となる.
つまり|1-\sqrt{2}|=-(1-\sqrt{2})=\sqrt{2} -1である.

過去の記事の修正

修正というとき,必ずしも改善であるとは限らないが,これは改善であるといえると思う.

これらの記事についてである.
orz107orz.hatenablog.com
orz107orz.hatenablog.com

かいつまんでいうと,級数\frac{1}{1}-\frac{1}{2}+\frac{1}{3}-\frac{1}{4}+\cdots+\frac{1}{2n-1}-\frac{1}{2n}+\cdots=\log 2について,\frac{1}{1}-\frac{1}{2}+\frac{1}{3}-\frac{1}{4}+\cdots+\frac{1}{2n-1}-\frac{1}{2n}=\frac{1}{n+1}+\frac{1}{n+2}+\cdots+\frac{1}{2n}という等式を使うと示せそうだよね,という話である.
2つ目の記事でライプニッツ補題と,ずいぶんたいそうな道具を使っていることが気になった。
ここまで読んだ方はお気づきだろう。この話はこの道具を使う必要はない。これでよい。

2nまでであれば,\frac{1}{1}-\frac{1}{2}+\frac{1}{3}-\frac{1}{4}+\cdots+\frac{1}{2n-1}-\frac{1}{2n}=\frac{1}{n+1}+\frac{1}{n+2}+\cdots+\frac{1}{2n}の極限をとることで,\displaystyle \lim_{n \to \infty} \sum_{k=1}^n (\frac{1}{2k-1} - \frac{1}{2k})=\log 2であるわけだ.
それなら2n+1までならば,いつものパターンのこれでいい.
\displaystyle \lim_{n \to \infty} (\frac{1}{1}-\frac{1}{2}+\frac{1}{3}-\frac{1}{4}+\cdots+\frac{1}{2n-1}-\frac{1}{2n}+\frac{1}{2n+1})
\displaystyle = \lim_{n \to \infty} \sum_{k=1}^n (\frac{1}{2k-1} - \frac{1}{2k})+\lim_{n \to \infty} \frac{1}{2n+1}
=\log 2 +0 = \log 2

簡単じゃないか…!

n進数の初歩の初歩の初歩

正直に言うと、この話はそこまで詳しくない。
高校レベルくらいまでのことしか知らない。
そんな初歩の話を書いてみる試みだ。

その1.普段の数
日常生活で使う数は31や1200と書かれる。
31は小学校以来「さんいち」ではなく「さんじゅういち」、1200は「いちにぜろぜろ」でなく「せんにひゃく」と読む。
これは「31=十の位に3+一の位に1」とか「1200=千の位に1+百の位に2+十の位に0+一の位に0」という意味だ。

ところで各位は10を使って、一=10^0、十=10^1、百=10^2、千=10^3…と解釈できることから、31=3 \times 10^1 + 1 \times 10^0であり、
1200=1 \times 10^3 +2 \times 10^2 + 0 \times 10^1 +0 \times 10^0と見ることができる。
このように位の単位を10にする書き方を十進数(じっしんすう、じゅっしんすう)という。

つまり普通の数は、十進数である。

その2.位の単位を変えると…
1 \times 2^3 + 0 \times 2^2 + 0 \times 2^1 + 1 \times 2^0という数を考えよう。
普通の数(=十進数)と見れば、計算することで9と分かる。
これを位の単位が2の数であると見ると、1001(「いちぜろぜろいち」と発音する)という数と考えることができる。
位の単位が2の数を二進数(にしんすう)という。

本当は二進数なのに何もせずに1001と書くと「せんいち」と間違えられるので,
右下に小さく(2)と書く。つまり9_{(10)}=1001_{(2)}である。

曲線の長さを極座標で

曲線がx=x(t),y=y(t)a \leq t \leq b)と表されているとき,その曲線の長さL
 \displaystyle L=\int_a^b \sqrt{(\frac{dx }{dt}(t))^2+(\frac{dy }{dt}(t))^2}dt

この式の意味をおおまかに考える。
x方向の小さい変化\Delta xに対して,この曲線のy方向が\Delta yと変化しているとする。
この分の曲線の長さはピタゴラスの定理\sqrt{(\Delta x)^2+(\Delta y)^2}で求められる。
あとはこれらの曲線を足し合わせて極限をとれば,\int \sqrt{(d x)^2+(d y)^2}…(1)となる。
最後にdx=\frac{dx}{dt}dtなどとパラメータの微分と思えば上式が導ける。

ところで(1)の式を極座標でとりなおす。つまりx=r \cos \theta , y=r \sin \thetaとする。
このときd微分と同じ法則で残すことにする。
例えばd(fg)=d(f) \cdot g+f \cdot d(g)d(\sin \theta)=\cos \theta \cdot d\thetaのように。

さて(1)のルートの中身を調べていこう。
d(r \cos \theta)=dr \cdot ( \cos \theta)-r \sin \theta \cdot (d \theta)
かつd(r \sin \theta)=dr \cdot ( \sin \theta)+r \cos \theta \cdot (d \theta)であるから2乗すると,
(d(r \cos \theta))^2=(dr)^2 \cdot ( \cos^2 \theta) -2 \sin \theta \cos \theta dr d\theta+r^2 \sin^2 \theta \cdot (d \theta)^2
かつ(d(r \sin \theta))^2=(dr)^2 \cdot ( \sin^2 \theta) +2 \sin \theta \cos \theta dr d\theta+r^2 \cos^2 \theta \cdot (d \theta)^2
つまり(1)は\displaystyle \int \sqrt{(d x)^2+(d y)^2}=\int \sqrt{ (dr)^2 +r^2 (d \theta)^2 }=\int \sqrt{ r^2+ (\frac{dr}{d \theta})^2 }d \theta

角度のパラメータの積分になっている。場合によってはこれの方が計算しやすいだろう。

2次関数の最大値・最小値の問題

2次関数の最大値・最小値の問題は,必ず関数のグラフで解決すべき問題だ。

例題.関数y=x^2-2x+3-1 \leq x \leq 4の最大値と最小値を求めよ。

流れを確認する。
1.2次関数のグラフをかくために,関数を平方完成する。
2.頂点と端点に注目して関数のグラフをかく。
3.目で見て,高さが一番高いところと一番低いところを調べる。

解)与えられた関数を平方完成する。
y=x^2-2x+3
 =(x-1)^2+2
つまり頂点の座標は(1,2)で下に凸の2次関数である。
xの定義域は-1 \leq x \leq 4であるから,与えられた関数のグラフは次のとおりである。
https://www.wolframalpha.com/input/?i=y%3Dx%5E2-2x%2B3,+-1%3C%3Dx%3C%3D4
グラフからx=4で最大値11,x=1で最小値2をとる。(終)