べっこう色の記録

かつては日記でしたが、現在は数学のことを多く書いています

級数の問題を解く(導入)

いくつかの級数の問題は取り扱ってきたものの,初歩の問題はなぜかやらずにきた。面倒だったのかもしれない。
今回はそのような問題たちを扱う。

ところで級数とは何か,という話を初めにしなければならないだろう。
級数(無限級数)とは,無限項の数列の和のことである。
すなわち,数列\{ a_n \}_{n=1}^\inftyに対して\displaystyle \sum_{n=1}^\infty a_nのことである。

ここではたと困ることがある。
人間は無限項の足し算などできるはずがないということである。当たり前のことだが大問題といえるだろう。
どうやって無限の足し算をすればいいのだろうか。

解決する手段はこうである。
まずn=1, 2, \ldots ,mととりあえず第m項までの和をつくる。\displaystyle S_m=\sum_{n=1}^m a_n
次にこのS_mmを限りなく大きくする。つまりm \to \inftyとするのである。
このとき\displaystyle \lim_{m \to \infty}S_m = \lim_{m \to \infty}\sum_{n=1}^m a_nが存在する場合に限り,その極限を無限項の和と解釈するのである。
無限に足さずに極限の解釈をすることで,議論をすりかえている。うまい方法だ。

逆にいえばこの手順で無限項の和を求めればよい,ということになる。
色々なパターンの問題を取り扱っていく。

1/6公式からの発展

1/6公式 \int_a^b (x-a)(x-b) dx=-\frac{1}{6} (b-a)^3はよく知られている.

少し変えて,\int_a^b (x-a)^m(x-b)^n dxはどうだろうか.
これはこのようになる.
\displaystyle \int_a^b (x-a)^m(x-b)^n dx=\frac{1}{(m+n+1) {}_{m+n}{\rm C}_{m}} (b-a)^{m+1} (a-b)^n

右辺のb-aはまとめられることが多いのだが,こうしておくと符号がどうなるかわかる.
つまり被積分関数x=a,bを代入した際の符号に依存するということであって,
この書き方であれば直接的に出てくる.
また係数部分もよく階乗で書かれているが,こうして組み合わせの記号で書いておくと覚えやすいのではなかろうか.
具体例を挙げておこう.

例.
\int_a^b(x-a)(x-b)^2dxを求めよ.

解.
係数を計算する.
(x-a)(x-b)^2の次数を見ると3次なので(3+1) \cdot {}_3 {\rm C}_1=4 \cdot 3=12である.
これより
\int_a^b(x-a)(x-b)^2dx=\frac{1}{12}(b-a)^{1+1}(a-b)^2=\frac{1}{12}(b-a)^4
である.

等差数列の基礎

マニアックな数列ばかり取り扱って、基本的な数列をやっていなかった。

このような数列を考える。
 5, 8, 11, 14, …
はじめの数に3ずつ足して作られる数列である。
同じ数を足している、ということは隣あったものどうしは差が一定ということである。
つまり8-5=3, 11-8=3, 14-11=3, \ldotsである。
隣り合ったものどうしの差が一定の数列を等差数列という。
はじめの数を初項、一定の差を公差、n番目を第n項という。

並べ替えの不等式

orz107orz.hatenablog.com
この記事の意味がさっぱり分からない。
一体なにをしようとしていたのか…?今となってはもう解明できない気がする。

この記事で述べられている、並べ替えの不等式はこのことだろうか。
3個のバージョンを書いておく。
実数a_1>a_2>a_3およびb_1>b_2>b_3において、b_1,b_2,b_3を任意に並べ替えたものをc_1,c_2,c_3とする。
このとき次の並べ替えの不等式が成立する。
a_1 b_1 + a_2 b_2 + a_3 b_3 \geq a_1 c_1 + a_2 c_2 + a_3 c_3 \geq a_1 b_3 + a_2 b_2 + a_3 b_1

複素積分の値が媒介変数による例

前回の記事のつづき。
端点だけでは積分の値を1つに定められない例を挙げる。
つまり関数として正則でないものを挙げればよい。

例.関数f(z)=\bar{z}について考える。
端点を-11とし、複素積分を考える。
1) 積分C_1を実軸に沿って考えた場合
パラメータはz(t)=t-1 \leq t \leq 1)ととる。
\int_{C_1}\bar{z}dz = \int_{-1}^1 t \cdot (t)' dt =\int_{-1}^1 t dt = 0.(奇関数の性質)
2) 積分C_2を半円として考えた場合
パラメータはz(t)=e^{it}\pi \leq t \leq 0)ととる。
\int_{C_2}\bar{z}dz = \int_{\pi}^0 \overline{e^{it}} (e^{it})' dt =\int_\pi^0 e^{-it} i e^{it} dt = \int_\pi^0 i dt=-\pi i