べっこう色の記録

かつては日記でしたが、現在は数学のことを多く書いています

数学

忘れられない問題

忘れられない問題は多々あるが,その内のひとつは次の問題である.問.(東京大学2004第1問) 平面の放物線上の3点が次の条件を満たしている. は一辺の長さの正三角形であり,点を通る直線の傾きはである. このとき,の値を求めよ.□忘れもしない,私が初…

重要な関数

関数()は重要な関数である.である. つまりとなる有界連続関数である.

ホーナー法

ホーナー法は多項式の値を求めるアルゴリズムである.例えば三次の整式について,の値を求めるとする. 通常であればや係数に掛け算の計算が要る. この場合であれば回の掛け算をせねばならない.計算はできればやらないほうがいい.ミスが減らせるからだ.…

相乗平均でも

上の話は相乗平均でも変わらない.とおく. このとき .

相加平均のこと

相加平均について考えたい.3つの数の相加平均をとする. このとき4つめの数を加えても相加平均が変わらないようにするにはどうすればいいだろうか.実際に計算をしてみよう. ここでであることに注意すると, より が得られる.何も考えず,好奇心にまか…

2乗の展開について

および はよく知られた公式だ.少し計算すると も分かる. ということは一般には…

陰関数定理その2

具体例で使い方を追いかける.例. 関数を考える. である. これより点Pに対して,となる. 陰関数定理よりを含む開近傍とその開近傍上で定義された陰関数が存在する.この場合はよりである.

三角比の等式

命題. 三角形ABCに対して次の等式が成り立つ. .□(証明) 三角関数の加法定理により,であるから, . 補角の公式より . ゆえに .(証明終)

積分の平均値の定理

定理.(積分の平均値の定理) に対して,が存在して と表せる.□(証明) が定数関数であれば明らかである. そこでが定数関数ではないとする. このとき最大・最小値の定理より有界閉区間上最大値および最小値が存在する. すなわち () が成り立つ.両辺…

積の微分法

これが昨日書いた部分積分の基本になる等式である.

部分積分法

積分の計算の常套手段であるものすごい定理である.定理.(部分積分) に対して,次の等式が成り立つ. .□証明は積の微分法の両辺を積分することで得られる. これほどまでに証明は楽なのに,かなり使える定理である. こんなに贅沢をしていいのだろうか.

1/(sin x)^2の積分

例. を計算せよ.□「暗記しろ」といわれてしまう問題だが,その場で計算することももちろんできる.解) (を用いた) (を用いた) (部分積分法) .(は積分定数)□やはり計算するよりも,覚えているほうがいい気がする. これはどうだろう?解2) (を…

1/(sin x)^3の積分

問. を求めよ.やってみることにする. 解) (部分分数分解) (部分分数分解) .(Cは積分定数)

軌跡の問題を黙々と

高校のころ軌跡の問題が苦手だった. この記事では黙々と軌跡の問題を解いていこうと思う.問. 点,に対して,を満たす点の軌跡を求めよ.□解) 点とおく.2点間の距離の公式から となる.両辺を二乗して整理する. . よって点は直線上に存在することがわ…

漸近線について

漸近線についてググっていたところこのような記事にあたった. 漸近線(ぜんきんせん)とは - コトバンク この記事によれば > 限りなく近づいてはいくが、決して交わらないし、接しもしない直線 と書いてある. 一方で 漸近線の求め方に関する考察 によると, …

ペアノの公理その1

自然数の公理として大変有名なものだが,私はさっぱり分からない. 理解のための記事である.公理.(ペアノの公理) 次の5個の性質をもつ集合を自然数の集合という.その元を自然数という. 1)という元が属する. 2)すべてのに対して,後者が存在する…

留数定理その4

留数を何らかの方法で求められれば,積分の値が求まることを前回述べた. その「何らか」の方法はローラン展開された式から分かる.例えば関数の点におけるローラン展開が次の形だったとしよう. . 両辺にをかけると,分母が払われて となる.を両辺に代入…

留数定理その3

定理. 中心穴あき開円板において正則な関数 のローラン展開が次の式で与えられるとする. このとき, となる.□(略証) 両辺積分し,右辺を項別積分する. このとき留数定理その1で登場した事実を用いるとの積分の値はであり, それ以外の積分の値は0であ…

三角関数の定義を級数で行った場合の加法定理の証明

三角関数の定義は幾通りか存在する. ここでは級数で定義し,加法定理を証明する.定義.(三角関数) および と定義する.□定理.(三角関数の加法定理) 等式が成立する.□(証明) (二項定理) (組み合わせの定義) (☆) .(証明終)途中の変形(☆)…

留数定理その2

べき級数の話を少しする.級数を考える.定理. あるで級数が収束するならば, すべてのにおいては絶対収束する.□(証明) であるから,が成り立つ. これより,すべてのに対してとなるが存在する. 任意のに対して, (よりであるから無限等比級数の和の公…

直線に垂直な幾何学的ベクトルについて

点と直線の距離でも登場した話である.命題. 直線に垂直な方向の幾何ベクトルのひとつはである.□(証明) 直線と直線は平行である. この式をと考えれば,直線とは垂直であることを意味する. ゆえに直線とも垂直である.(証明終)

留数定理その1

ある領域において正則な関数を考える. 任意のに対して,円周上の複素積分を考える.命題. □(証明) 円周の媒介変数表示は ()で与えられる. 複素積分の定義より となる.ならば である.ならばであるから, である.(証明終)

はさみうちの原理

ε-N論法で証明する典型だが書いておこう. ちなみに私がε-N論法ではじめてうまく証明できたもので印象深い.定理.(はさみうちの原理) 3つの実数列,,について,すべての自然数に対してであり,かつならばである.□(証明) 任意のをとる. およびである…

ある極限値の問について

大学でよく出題される問題である.問. を示せ.□解) に対してである. これよりである. よりはさみうちの原理からが示された.(証明終)

指数・対数の法則とかけ算のこと

指数法則は次のとおりである. . 対数法則はこのとおりである. ,.対数の発見のすばらしいところは,対数表があればかけ算をたし算にできることである. 例えば,が既知であるとする. このとき次の計算が成り立つ. (上に書いてある指数法則) (既知の…

二変数関数の一変数について積分を微分する

微分積分学の基本定理は有名だ.それではこうするとどうなるだろうか. . 被積分関数も変数に依存しているとするのである. 何を隠そう,実はこうなる. .

コーシーの積分定理

定理.(コーシーの積分定理) 単連結領域において関数は正則であるとする. このときに含まれる単純閉曲線に関するの積分は0である.すなわち, が成立する.□いかなる単純閉曲線に対しても0という驚異的な定理である.

一致の定理

関数論を初めて学ぶと,たいていは関数論の美しさ?に惑わされる.関数論における最大の定理たるコーシーの積分定理で催眠術にかかったようになり, コーシーの積分公式ではっと我にかえり,そうこうしているうちに留数定理が登場し, いつの間にかフレネル…

2つの円の位置関係

2つの円が外接すると内接する場合,どうやって作図するのだろうか.2つの円の半径が与えられている場合は比較的簡単だろうか….

三次元空間内の直線

少し前にねじれの位置について扱った. さて,三次元空間内の2直線の角度はそれぞれの直線に平行で1点で交わる直線を引き, その交点における角で定義する.