岩手大学2018農学部第2問を解く

教科書の例題のような問題である。
適切に記号が使えるかどうかを問いたいのだろうか。

2.
初項が5である等差数列\{ a_n \}と,初項が2である等比数列\{ b_n \}がある(n=1,2,3,…)。
数列\{ c_n\}c_n=a_n - b_n,c_2=5,c_3=-1,c_4=-31で定められるとき,次の問いに答えよ。
(1) 数列\{ a_n \}の公差dと\{ b_n \}の公比rを求めよ。
(2) \{ c_n \}の一般項を求めよ。
(3) \{ c_n \}の初項から第n項までの和S_nを求めよ。
解)
(1)
初項5,公差dの等差数列であるから a_n=5+(n-1)d
初項2,公比rの等比数列であるから b_n=2r^{n-1}
c_2=a_2 - b_2=5+d-2r=5…(A)かつc_3=a_3 - b_3=5+2d-2r^2=-1…(B)となるので,
これを連立方程式と見て解く。(A)×2-(B)とすると5-4r+2r^2=11よりr^2-2r-3=0となる.
(r+1)(r-3)=0よりr=-1,3が得られる。
ここでr=-1c_n=2n-3-2 \cdot (-1)^{n-1}よりc_4=7で条件を満たさない.
r=3は条件を満たしd=6を得る。これが求める値である.

(2)
(1)に代入することでc_n=6n-1-2 \cdot 3^{n-1}を得る.

(3)
数列\{ a_n \},\{ b_n \}の初項から第n項までの和をそれぞれ求め引けばよい.
\displaystyle \sum_{k=1}^{n}a_n=\sum_{k=1}^{n}(6n-1)
    =\frac{1}{2}n(5+(6n-1))
    =n(3n+2)
\displaystyle \sum_{k=1}^{n}b_n=2\sum_{k=1}^{n}3^{k-1}
    \displaystyle =2\frac{3^n-1}{3-1}
    =3^n-1
以上よりS_n = n(3n+2) -3^n +1である.

岩手大学2018農学部第1問を解く

2年ぶりに帰ってきた過去問解答である.
今回も出だしは小問集合だが,なんとここに平面のベクトルの問題がある.
この瞬間,以降の大問には幾何学的ベクトルの問いがないことが分かって衝撃を受ける。
もうベクトルの大問を出題することはあきらめてしまったのだろうか?

1.
(1) 2進法で11101011_{(2)}と表される数を5進法で表せ。
解)
11101011_{(2)}を10進法に直すと2^7+2^6+2^5+2^3+2^1+2^0=235である。
235を5で割り続け,余りを見ていくことで1420_{(5)}を得る。

(2) 三角形OABにおいて,辺OAを1:2に内分する点をC,
辺OBを1:3に内分する点をD,
線分ADの中点をEとする。また,\vec{OA}=\vec{a},\vec{OB}=\vec{b}とする。
このとき,\vec{CE}\vec{a}, \vec{b}を用いて表せ。
解)
\vec{OC}= \frac{1}{3} \vec{a},\vec{OD}= \frac{1}{4} \vec{b}より
\vec{CE}=\vec{OE}-\vec{OC}
  =\frac{1}{2}(\vec{OA}+\vec{OD})-\vec{OC}
  =\frac{1}{2}(\vec{a}+\frac{1}{4} \vec{b})-\frac{1}{3} \vec{a}
  =\frac{1}{6}\vec{a}+\frac{1}{8}\vec{b}.

(3) 1個のさいころを投げて出た目をaとするとき,
2次方程式x^2 -ax +2a-3=0が実数の解をもつ確率を求めよ。
解)
2次方程式が実数の解を持つのは
この方程式の判別式DがD \geq 0を満足するときである.
D=(-a)^2-4 \cdot 1 \cdot (2a-3)=(a-2)(a-6)
であるから(a-2)(a-6) \geq 0を解いてa \leq 2, 6 \leq aを得る.
aはさいころの目だから起こりうるすべての場合は6通りであり
これらは同様に確からしい.
一方不等式を満たす目は3通りであるから求める確率は\frac{3}{6}=\frac{1}{2}である.

直積群の基本

G_1, G_2を群としたとき,直積集合G_1 \times G_2の元(a_1, a_2),(b_1,b_2)に次のように演算を入れる。
(a_1, a_2)(b_1,b_2):=(a_1b_1,a_2b_2)
右辺のそれぞれの成分は,元の群の演算をおこなうこととする。これで直積集合は群となる。直積群,もしくは単に直積と呼ぶ。

Gの部分群H_1, H_2が次の2条件を満たすとする。
1) H_1の任意の元とH_2の任意の元は可換である。
2) 任意のGの元aはあるa_1 \in H_1およびa_2 \in H_2a=a_1a_2と一意的に表せる。
Gは部分群H_1, H_2の直積であるといい,G=H_1 \times H_2と表す。

最初の定義は与えられた2個の群から新たな群を生み出す方法であり,2番目の定義は1つの群を分解するイメージだろうか?素因数分解のような…。群論のイメージは自分自身にはまだあまりないので,よく分からないが今のところはそのように認識しておこう。

(追記19.9.23)
半直積というものもあることを知った。ソースはウィキブックスである。あなどれない。

ナブラの計算(1回目)

ナブラというものがある。
\nabla = \partial _x e_x + \partial _y e_y + \partial _z e_zで定義する。
ここでe_*は各軸の正方向の単位ベクトル(=基本ベクトル)である。

なんだこれは,というと3変数の関数の勾配を表している。

つまりナブラは微分作用素であって,関数fに対して
\nabla f=\partial _x f e_x + \partial _y f e_y + \partial _z f e_z
となり各成分の方向への偏微分をベクトルで表現している。

具体例を挙げておく。
例.
f(x,y,z)=x^2+y^2+z^2とする。
このとき\nabla f(x,y,z)=(2x,2y,2z)である。

三角不等式(絶対値)

実数a, bに対して,次の不等式が成立する。
|a+b| \leq |a| + |b|
この不等式を三角不等式という。

証明は右辺の平方と左辺の平方を計算する方法が教科書にある。
ほかにもこのような方法もよく知られている。

(証明)
絶対値の性質から従う式-a \leq |a| \leq a, -b \leq |b| \leq bの辺々を加えると,
 -(a + b) \leq |a| + |b| \leq a+bとなる。これと証明すべき式は同値である。
(証明終)

前の日の複素数の方程式(東北大学)の記事について

問題文には必要十分条件であることを示せ、と書かれているが果たしてこれでいいのだろうか、と一瞬迷った。
つまり議論的にはzがちょうど2個存在するための十分条件を求めただけのように見える。
逆はいいのか…?という話である。

結論から言うと問題ない。
なぜならこの解は、次のような構造で解かれているからである。
(1)\alpha \neq \bar{\beta}ならばzがちょうど2個となる
(2)\alpha = \bar{\beta}ならばzがちょうど2個とならない
つまり\alpha, \bar{\beta}の起こりうる関係をすべて調べつくしている。そこで対偶をとってみる。
(1)´ zがちょうど2個とならないならば\alpha = \bar{\beta}
(2)´ zがちょうど2個となるならば\alpha \neq \bar{\beta}
よって、同値であることが示されるのである。

東北大学2017年数学問5を解く

難しかった。複素数の方程式の解の存在条件なんて知らなかったからだ。
かなり考えて、結局は実数の話にすりかえることで解決できることに気がついた。

5.\alpha, \beta, \gamma複素数とし,z \bar{z}+\alpha z + \beta \bar{z} + \gamma=0…(*)を満たす複素数zを考える.
以下の問いに答えよ.
(1) z(\alpha - \bar{\beta})z - (\bar{\alpha} - \beta)\bar{z}+\gamma - \bar{\gamma}=0を満たすことを示せ.
(2) |\alpha|=|\beta| \neq 0と仮定し,また\gammaは負の実数であると仮定する.このとき,(*)を満たすzがちょうど2個あるための必要十分条件\alpha, \betaを用いて表せ.

解)(1) (*)の両辺の複素共役をとり、辺々引くと得られる.
(2) 仮定から(1)の式は(\alpha - \bar{\beta})z - (\bar{\alpha} - \beta)\bar{z}=0となる.
移項して\alpha z + \beta \bar{z} =\bar{\alpha} \bar{z} + \bar{\beta} z=\overline{\alpha z + \beta \bar{z}}が得られる.
これは\alpha z + \beta \bar{z}が実数であることを意味する.つまり(*)は実数の方程式であることが分かる.
z=x+yi, \alpha=a+bi, \beta=c+diとおき,(*)に代入し整理すると次の式が得られる.
x^2 + y^2 +(a+c)x+(-b+d)y+\gamma + ((b+d)x+(a-c)y)i=0…(**)
左辺が実数であることから虚部が0より(b+d)x+(a-c)y=0…(***)を得る.
(**)と(***)をx,y連立方程式とみて解くが,以下のように場合分けして考える.
(i)a-c \neq 0の場合
y=\frac{b+d}{a-c} xと変形できるので,\frac{b+d}{a-c}=Aと置き換えて,(**)に代入する.
(1+A^2)x^2+((a+c)+(d-b)A)x+\gamma=0
これはxについての2次方程式である.\gamma < 0に注意すると,この方程式の判別式はD=((a+c)+(d-b)A)^2-4(1+A^2)\gamma >0となるので,常に異なる2個の実数解が存在する.よって元のzの実部が異なるので,(*)を満たすzも2個存在する.
(ii)a - c =0の場合
(***)は(b+d)x=0となる.
x=0のとき(**)はy^2 + (-b+d)y + \gamma =0となる.\gamma < 0に注意すると,この方程式の判別式はD=(-b+d)^2- 4 \gamma >0であるから,yが異なる2個の実数解を持つことになり,zの虚部が異なり,(*)を満たすzも2個存在する.
b+d =0のとき,(**)はx^2 + y^2 +2ax -2by + \gamma =0となる.
どのようなa, bに対しても(x+a)^2 + (y-b)^2=a^2 + b^2 - \gammaとなる.
この式の右辺は常に正ゆえ,中心(-a,b),半径\sqrt{a^2 + b^2 - \gamma}の円の方程式を表す.
つまりx,yは円周上の点をすべてとるので,zも無数に存在する.
以上(i)(ii)からa=c,b=-dのときを除いて(*)を満たすzはちょうど2個存在することになる.
\alpha, \betaの言葉で言い換えると,\alpha \neq \bar {\beta}が求める条件である.