岩手大学2017農学部第2問を解く

今年度も平面のベクトルだった。
(2)でベクトルの話から点の話へ移っているのは、ベクトルの成分を求めよ、だといまいちかっこつかないからだろうか。


2.
座標平面上で原点をOとし、3点A=(-2,1),B=(3,-4),C=(7,-1)をとり、\vec{a}=\overrightarrow{OA},\vec{b}=\overrightarrow{OB},\vec{c}=\overrightarrow{OC}とおく。また、線分ABをt:(1-t)に内分する点をP、線分BCをt:(1-t)に内分する点をQ、線分PQをt:(1-t)に内分する点をRとする。ただし 0 < t <1 とする。このとき、次の問いに答えよ。
(1) \overrightarrow{OR}\vec{a},\vec{b},\vec{c}を用いて表せ。
解)それぞれの点P,Qが内分点として表されているので、
\overrightarrow{OP}=(1-t)\vec{a}+t\vec{b}, \overrightarrow{OQ}=(1-t)\vec{b}+t\vec{c}である。
再び点RはPとQの内分点であるから
\overrightarrow{OR}=(1-t)\overrightarrow{OP}+t\overrightarrow{OQ}
上式を代入して
\overrightarrow{OR}=(1-t)^2\vec{a}+2t(1-t)\vec{b}+t^2 \vec{c}
(2) 点Rの座標をtを用いて表せ。
解)\overrightarrow{OR}=(1-t)^2\vec{a}+2t(1-t)\vec{b}+t^2 \vec{c}\vec{a}=(-2,1),\vec{b}=(3,-4),\vec{c}=(7,-1)を代入することで
\overrightarrow{OR}=(-t^2+10t-2,8t^2-10t+1)を得る。求める点Rの座標はR(-t^2+10t-2,8t^2-10t+1)である。
(3) \overrightarrow{BC}\overrightarrow{OR}が垂直になるtの値を求めよ。
解)\overrightarrow{BC}\overrightarrow{OR}が垂直になるのは、\overrightarrow{BC} \cdot \overrightarrow{OR}=0を満たすことが同値である。
\overrightarrow{BC}=\vec{c}-\vec{b}=(4,3)であるから,
 \overrightarrow{BC} \cdot \overrightarrow{OR}=0
 4(-t^2+10t-2)+3(8t^2-10t+1)=0
 4t^2+2t-1=0
この2次方程式を解くと、t=\frac{-1 \pm \sqrt{5}}{4}となる。
0 < t < 1よりt=\frac{-1 + \sqrt{5}}{4}が求めるtである。

岩手大学2017農学部第1問を解く

小問集合である.
出題ミスがあったようで(1)は載っていなかった.
ググるとすぐに問題を知ることはできて,次のような問題だったようである.
(1) 鋭角三角形ABCにおいてAB=\sqrt{6},AC=3\sqrt{3},\angle ABC =30^\circとするとき,辺ABの長さと△ABCの面積を求めよ.
鋭角三角形にならないのでミスになったわけだ。

(2) 自然数a,ba+2b=126をみたす。abの最大公約数が9のとき,このようなa,bをすべて求めよ。
解)12 + 2 \times 1 =14であるからa=108-2t,b=9+tt-8 \leq t \leq 53となる整数)が一般解である。
a,bの最大公約数が9であるからt=9sとおいて、a=18(6 - s),b=9(1+s)である。
s=0,1,2,3,4,5を順次代入することで適する組み合わせ、(a,b)=(108,9),(72,27),(36,45)が得られる。

(3) 数列 \{ a_n \} が,a_1 = 1, 2a_{n+1}=a_n+2n=1,2,3, \ldots)を満たすとき,この数列の一般項を求めよ。
解)2c=c+2を解くとc=2であって,2(a_{n+1}-2)=a_n-2からa_{n+1}-2=\frac{1}{2}(a_n-2)となる.
数列\{ a_n -2 \}は初項a_1-2=-1,公比\frac{1}{2}等比数列である.
つまりa_n -2 =-1 \times (\frac{1}{2})^{n-1}からこの数列の一般項はa_n=2-(\frac{1}{2})^{n-1}となる.

(17.10.15 追記)(2)が大間違い甚だしいものだったので修正した。

東進数学コンクール第44回に挑んだ

かなり手ごわかった.
いままで関数方程式を真剣に考えたことがなかっただけにつらかった.
あまりに冗長になったが,なんとか一応の解答を得たので公開する.
ちなみに締切日は昨日だった.
問題は東進のWebページで見てもらいたい.
解答はいつごろ発表なのだろうか…?
あざやかな解答があると思われるので楽しみに待っていたい.

解)
1st step 特殊な値の計算
与えられた方程式を(E)とおく.
(E)にx=2, y=f(2)を代入するとf(f(2)-2f(f(2)))=0となる.
そこで\alpha =f(2)-2f(f(2))…(a)とおく.
(E)にx=2,y=\alphaを代入するとf(f(2))=2f(2)-2 \alpha…(b)となる.
(a),(b)を連立して,\alpha = f(2)を得る.すなわちf(f(2))=0…(c).

2nd step 関数f単射であること
(E)にx=f(2)を代入するとf(-f(2)f(y))=-f(2)y…(d)が得られる.
関数f単射であることを証明する.
(証明)
任意の実数x,yに対してf(x)=f(y)とする.
(d)よりf(-f(2)f(x))=-f(2)x,f(-f(2)f(y))=-f(2)yであって,f(x)=f(y)より-f(2)x=-f(2)yが得られる.
f(2) \neq 0であればx=yとなり証明される.
いまf(2)=0と仮定する.(E)にx=y=2を代入するとf(0)=-4となる.
一方(c)よりf(0)=0であるから矛盾する.ゆえにf(2) \neq 0がいえたからx=yとなり単射であることがいえた.(証明終)

3rd step f(-f(x))=-xを得る
(d)にy=0を代入するとf(-f(2)f(0))=0であるが,(c)よりf(-f(2)f(0))=f(f(2))となる.
2nd stepから関数f単射なので-f(2)f(0)=f(2)で,f(2) \neq 0であったからf(0)=-1…(e)がわかった.
(E)にx=y=1を代入して(e)とあわせてf(1)=0…(f)もわかる.
(E)にx=2,y=1を代入して(f)とあわせてf(2)=1がわかる.
これで(d)はf(-f(y))=-yとなるが,みやすいように文字をとりかえてf(-f(x))=-x…(g)を得る.

4th step fを求める
(E)にy=\frac{2f(x)+x}{x}を代入する.ただしx \neq 0である.
f(f(x)-xf(\frac{2f(x)+x}{x})=2f(x)-x \cdot \frac{2f(x)+x}{x}=-xである.
(g)よりf(f(x)-xf(\frac{2f(x)+x}{x})=f(-f(x))f単射だったから,f(x)-xf(\frac{2f(x)+x}{x})=-f(x)となる.
ゆえにf(2\frac{f(x)}{x}+1)=2\frac{f(x)}{x}が従う.
\frac{f(x)}{x}x=0以外で定義される関数であるから,高々1個の値を除いたすべての実数を関数の値としてとるのであれば,2\frac{f(x)}{x}+1を改めてxとおくことで,その1個の値以外ではf(x)=x-1の表示を得る.
任意の実数kをとり,\frac{f(x_0)}{x_0}=kとなるx_0を求める.
式変形してf(x_0)=kx_0となるから,(E)にx=x_0 , y=2kを代入すると(f)よりf ( ( k - f ( 2k ) )x_0)=0=f(1)となる.
f単射だったから(k-f(2k))x_0=1,すなわちk-f(2k) \neq 0であればx_0 = \frac{1}{k-f(2k)}が得られる.
式から分子は 0 にならないので,このx_0 0 になることはない.
以上からk-f(2k) \neq 0であればx_0がとれることがわかる.
k=f(2k)となるkを求める.(E)にx=2k,y=1を代入すれば(f)よりf(k)=0=f(1)となる.
f単射だったからk=1となることがわかった.
つまり1以外のすべての実数に対してf(x)=x-1…(S)が示される.
ここで(f)よりf(1)=0であったから(S)はx=1の場合にも成立することがわかる.
ゆえに求める関数はすべての実数xに対してf(x)=x-1である.(終)

(17.8.8)ミスタイプを修正した.

控えめな有理数(滋賀医科大学医学部2016)

「控えめな」という変わった名づけ方なので、これには数学的にそうすべき理由があると思われる。
(2)が大ヒントであって、これがなければ思いつきにくいと思う。
そして問題の全体的な議論は可換環イデアルの問題の初歩に似ているように感じる。

2.
分母が奇数,分子が整数で表せる有理数を「控えめな有理数」と呼ぶことにする。
例えば-\frac{1}{3},2はそれぞれ\frac{-1}{3},\frac{2}{1}と表せるから,ともに控えめな有理数である。
1個以上の控えめな有理数a_1,\ldots ,a_nに対して,集合S \langle a_1, \ldots , a_n \rangleを,
 S \langle a_1, \ldots , a_n \rangle = \{ x_1 a_1 + \cdots + x_n a_n \mid x_1 , \ldots , x_n は控えめな有理数\}
と定める。例えば1は1 \cdot (-\frac{1}{3}) + \frac{2}{3} \cdot 2と表せるから,S \langle -\frac{1}{3}, 2 \rangleの要素である。
(1) 控えめな有理数a_1,\ldots ,a_nが定める集合S \langle a_1, \ldots , a_n \rangleの要素は控えめな有理数であることを示せ。
(2) 0でない控えめな有理数aが与えられたとき,S \langle a \rangle = S \langle 2^t \rangleとなる0以上の整数tが存在することを示せ。
(3) 控えめな有理数a_1,\ldots ,a_nが与えられたとき,S \langle a_1, \ldots , a_n \rangle = S \langle b \rangleとなる控えめな整数bが存在することを示せ。
(4) 2016が属する集合S \langle a_1, \ldots , a_n \rangleはいくつあるか。ただしa_1,\ldots ,a_n, b_1, \ldots ,b_mは控えめな整数であるとし,a_1,\ldots ,a_nb_1, \ldots ,b_mが異なっていたとしてもS \langle a_1, \ldots , a_n \rangle = S \langle b_1, \ldots , b_m \rangleであれば,S \langle a_1, \ldots , a_n \rangle S \langle b_1, \ldots , b_m \rangleは1つの集合として数える。

(1)
(証明)
2つの分母が奇数の有理数どうしの積もまた分母は奇数となるので,2つの控えめな有理数の積はまた控えめな有理数である。
また2つ以上の分母が奇数の有理数の和は分母が奇数となるので,2つ以上の控えめな有理数の和はまた控えめな有理数である。
したがって集合S \langle a_1, \ldots , a_n \rangleの要素は控えめな有理数となる。(証明終)

(2)
(証明)
与えられたaa=\frac{2^t \cdot \alpha}{\beta}\alpha, \betaはある奇数)と表せる。
このtが条件を満たすtであることを証明する。
任意のk \in S \langle a \rangleをとると,ある控えめな有理数xを使いk=xaと表せる。
k=(x \cdot \frac{\alpha}{\beta}) \cdot 2^tx \cdot \frac{\alpha}{\beta}は控えめな有理数であるからk \in  S \langle 2^t \rangleである。
逆に任意のk' \in S \langle 2^t \rangleをとると,ある控えめな有理数x'を使いk'=x' \cdot 2^tと表せる。
ここでk'=x' \cdot \frac{\beta}{\alpha} \cdot \frac{\alpha}{\beta} \cdot 2^t = x' \cdot \frac{\beta}{\alpha} \cdot aで,x' \cdot \frac{\beta}{\alpha}は控えめな有理数であるから k' \in S \langle a \rangleがいえる。
すなわちS \langle a \rangle = S \langle 2^t \rangleであるから,tが条件を満たすことが分かり,存在が示された。(証明終)

(3)
(証明)
a_1, \ldots ,a_nがすべて0であれば,単にb=0と定めればよいので,以下いずれかのa_iは0でないとする。
すべてのa_1,\ldots ,a_nを(2)の証明と同様に分子を素因数分解し,2の指数で最小のものをtと定める。
このときS \langle a_1, \ldots , a_n \rangle = S \langle 2^t \rangleが成り立つことを証明する。
任意のk \in S \langle a_1, \ldots , a_n \rangleをとる。このとき控えめな有理数x_1, \ldots , x_nを用いてk=x_1 a_1 + \cdots + x_n a_nと表せる。ゆえにk \in S \langle 2^t \rangleである。
ここでこれらの項を2^tでくくると,くくった部分は控えめな有理数\frac{\alpha}{\beta}となるから,k=\frac{\alpha}{\beta}\cdot2^tとなる。
また任意のk' \in S \langle 2^t \rangleをとると,控えめな有理数x'を使いk'=x' \cdot 2^tと表せるが,
2^tの定め方からあるa_ia_i = \frac{2^t \cdot \alpha_i}{\beta_i}\alpha_i, \beta_iはある奇数)と表示できるものが存在する。
これを使えばk' = x' \cdot 2^t = x' \cdot \frac{\beta_i}{\alpha_i} \cdot \frac{\alpha_i}{\beta_i} \cdot 2^t= x' \cdot \frac{\beta_i}{\alpha_i} \cdot a_i となる。
x' \cdot \frac{\beta_i}{\alpha_i}は控えめな有理数であるからk' \in S \langle a_1, \ldots , a_n \rangleが示される。
以上よりS \langle a_1, \ldots , a_n \rangle = S \langle 2^t \rangleが成り立つことが示された。(証明終)

(4)
(3)までの議論でS \langle a_1, \ldots , a_n \rangleの表示はS \langle 1 \rangle, S \langle 2 \rangle,S \langle 2^2 \rangle, \ldots , S \langle 2^t \rangle , \ldotsのものに限って考えれば十分であることが分かる。
2016=2^5 \times 3^2 \times 7であるから,2016 \in S \langle 2^t \rangle (t=0,1,2,3,4,5)および2016 \not\in S \langle 2^t \rangle  ( t \geq 6)となる。
したがって2016が属する集合S \langle a_1, \ldots , a_n \rangleは全部で6個存在する。

(追記17.6.25)(3)でa_iがすべて0の場合を書いていなかったので1行追加した。

最小公倍数を求める方法

l={\rm lcm}(a,b),g={\rm gcd}(a,b)とする.

定理.
ab=lgが成立する.

(証明)
a=ga',b=gb'a',b'は互い素)とする.
このときab'=a'b=ga'b'であるからl=ga'b'となる.
よってlg=ga'gb'=abとなる.(証明終)

この定理を眺めると,最小公倍数を求める手順に次のようなものがあることに気がつく.
1.ユークリッドの互除法gを求める.
2.a,bgで割り,2つの商とgの積が最小公倍数である.

やはり例のとおり素因数分解して素因数を見比べるほうが早い気がする.
その方法も一応書いておく.以下p_i素数とする.
a={p_1}^{e_1} \cdots {p_n}^{e_n},b={p_1}^{f_1} \cdots {p_n}^{f_n}素因数分解する.
このときl={p_1}^{\max \{ e_1, f_1 \} } \cdots {p_n}^{ \max \{ e_n, f_n \} }である.

例えば600, 90の最小公倍数は600 = 2^3 \cdot 3 \cdot 5^2, 90 = 2 \cdot 3^2 \cdot 5より
冪の大きい数をとることで2^3 \cdot 3^2 \cdot 5^2 = 1800が分かる.

ユークリッドの互除法について

a,bの最大公約数を{\rm gcd}(a,b)と表す.

定理.(ユークリッドの互除法
a, b(a \geq b)を整数として,abで割った余りをrとする.
このとき,{\rm gcd}(a,b)={\rm gcd}(b,r)

教科書の証明はなんだか文章ばかりで難しかった覚えがある.
今ならできるだろうか…?

(証明)
abで割った商をqとするとa=bq+rと表せる.
右辺をみるとb,rの公約数はaの約数となっており,
a,bの公約数になっていることがわかる.
またr=a-bqと変形するとa,bの公約数はrの約数となっており,
b,rの公約数になっていることがわかる.
つまりa,bの公約数の集合とb,rの公約数の集合は等しいので,
最大公約数は等しい.(証明終)

あっさり解決できた.少しくらいは簡単な整数論が身についているようだ.
このユークリッドの互除法は使いかたが問題である.

例えば73, 17の最大公約数を求める場合は,「どんどんスライドさせて割っていく」のである.
73=17 \times 4 + 5(割り算の原理)
17=5 \times 3 + 2 (割る数と余りで割り算する.以下繰り返す.)
5=2 \times 2 + 1
2=2 \times 1(割り切れたら終了)
よって最大公約数は1である.

ひとまずユークリッドの互除法の使いかたはいいだろう.
ところで上の証明を見ると,結局は次の問題に帰着される.

問.
{\rm gcd}(a,b)={\rm gcd}(a-b,b)を示せ.

証明はa=(a-b)+bとすれば,上の証明となんら変わらない議論で示せる.
これがいわゆる,ユークリッドの互除法の原理と呼ばれるものである.

二次形式って何ですか?

正直に告白すると、二次形式というものを勉強したことがない。
使ったことが全くない。

Wikipediaによれば、二次形式は多方面で中心的な地位を占めるもののようだ…。
全く知らない。

いままで中心を回避して勉強していたということなのだろうか。
まるで複素積分のようである。