真・解法への道!/数学IAIIB(箕輪 浩嗣)の紹介

まったくもってすばらしい参考書である。
全問解いたが、どれも一筋縄では解けないが、解けた後はすがすがしい気持ちになる。
難しすぎず、かといって簡単ではない。すべてが良問である。
ページ数は600ページ近くあり一瞬ひるむが、恐れることはない。
とっつきやすい、箕輪先生のやさしい語り口で書かれた最高の解説のためにそうなっている。
この解説、他の参考書では語られることがあまりない話にも踏み込んである。
第1章の必要十分条件の話、第7章の軌跡と領域の話などは、こんなに読者の目線に立って書かれてる本は珍しいと思う。
教科書と傍用問題集を終えて、難関大へ十分な力をつけるためにこの参考書が強い味方となるはずだ。

ここで注意を。
はじめに、にあるがこの本は箕輪先生の過去の書籍、数学IAIIB解法の極意の加筆修正版であるから、こちらを買えばよい。
またフリマアプリで高額で出品されているのを見かけたが、定価は2,300円+税なのでこれ以上のものを買ってはいけない

2次関数が切り取る線分の長さ

2次関数y=ax^2+bx+cが直線と2個の共有点を持つとき,
それらの共有点を端点に持つ線分の長さを考える。これを切り取る線分の長さという。

例題.
y=x^2-x-6x軸から切り取る線分の長さを求めよ。

解)
x^2-x-6=0
(x+2)(x-3)=0
x=-2,3
与えられた関数はx軸と点(-2,0),(3,0)という共有点を持つ。
線分の長さは共有点のx座標の差で計算できるので
3-(-2)=5
である。

この例題を見れば分かるとおり,x軸との共有点の場合は
与えられた関数の零点を求めてx座標の差を計算すればよいので,
容易に因数分解できるときは何も問題にならない。
したがって因数分解しにくい,平方根が混じる場合が問題となる。

例題.
y=2x^2-3x-4x軸から切り取る線分の長さを求めよ。

解)
2x^2-3x-4=0として,この方程式を解く。解の公式を使って
 \displaystyle x=\frac{-(-3) \pm \sqrt{(-3)^2 - 4 \cdot 2 \cdot (-4)}}{2 \cdot 2}=\frac{3 \pm \sqrt{41}}{4}
これは与えられた関数のx軸との共有点のx座標であり,
その差が切り取る線分の長さであるから
\displaystyle \frac{3 + \sqrt{41}}{4} - \frac{3 - \sqrt{41}}{4}=\frac{\sqrt{41}}{2}
である。

最後の式を見れば分かるが,2次関数がx軸から切り取る線分の長さは\displaystyle \frac{\sqrt{b^2 -4ac}}{|a|}である。
分母に絶対値がついているのはa<0の場合も考えているからである。
センター試験で覚えていると使えることもあった公式だが,共通テストではどうなるだろうか。

この方法以外にも解と係数の関係を使う方法もある。書いておこう。

解)
2x^2-3x-4=0として,この方程式の解を\alpha , \betaとする。ただし\alpha < \betaとする。
求めるx軸から切り取る線分の長さは \beta - \alphaである。
解と係数の関係より\alpha + \beta = \frac{3}{2}, \alpha \beta = -2である。
対称式の計算(\beta - \alpha)^2=(\alpha + \beta)^2 -4 \alpha \beta=\frac{9}{4}+8=\frac{41}{4}となるから,
2乗を外して\beta - \alpha =\frac{\sqrt{41}}{2}を得る。ここで\alpha < \betaを使った。

身の丈、のこと

昨年、当時の萩生田文科相大臣が「身の丈あって勝負」すればいいとのたまった。

どういう意図だったとかは後付であって、本音なんだろう。
地方のどうでもいい連中のどうでもいい戯言はくだらないと切り捨てているわけである。

自分はその地方に生まれて、今も住んでいる。
都会との格差を感じない日はない。

ここはすっかり数学ブログになっている。
ありがたいことに色々な方に見ていただいているようだ。
地方で塾や予備校に通えない高校生や、数学がネックになっている大学生も見ているかもしれない。
私はそんな皆さんの味方になりたいと思っている。

このサイトがどれぐらい役に立つかは未知数であるが、
無料で見られることこそインターネットの素晴らしさであることを強く意識して、
格差を跳ね飛ばすかのごとく多くの情報を提供したい。

積分と分数

分数の絡まっている積分はいくぶん考えにくいことがある。
そのそれぞれの解法はお互いに関係ないと思われるので個別に覚えるしかないだろう。
いくつかみていこう。以下積分定数は省略する。

(1)\int \frac{1}{x^n}dxn自然数
これはn=1であるか否かで場合分けする。
\int \frac{1}{x^n}dx= \left \{
\begin{array}{l}
\log x \qquad \qquad (n=1)  \\
\frac{1}{-n+1}x^{-n+1} \quad (n \neq 1)
\end{array}
\right.

(2) \int \frac{1}{x(x+2)} dx
部分分数分解を用いる。これは\frac{1}{x(x+2)}=\frac{a}{x} + \frac{b}{x+2}という恒等式を立てて,a,bを求めればよい。
 \int \frac{1}{x(x+2)} dx=\int \frac{1}{2} (\frac{1}{x} - \frac{1}{x+2} )dx=\frac{1}{2}( \log |x| - \log |x+2|)

(3) \int \frac{1}{\sin x} dx
三角関数が分母に来たとたん,急に難しくなるのはなぜなんだろう。少なくともやり方を知らないと解けないだろう。
 \int \frac{1}{\sin x}dx=\int \frac{\sin x}{\sin^2 x}dx=\int \frac{\sin x}{1 - \cos^2 x}dx
部分分数分解すると
=\int \frac{1}{2}(\frac{\sin x}{1-\cos x} + \frac{\sin x}{1+\cos x})dx=\frac{1}{2}(\log |1- \cos x|-\log |1+\cos x|)

(4) \int \frac{1}{1+e^x} dx
やり方が2通りある。
 \frac{1}{1+e^x}の分母と分子にe^{-x}をかけると
 \int \frac{1}{1+e^x} dx=\int \frac{e^{-x}}{e^{-x}+1}dx=-\log (e^{-x}+1)
別の解法もかく。
 \frac{1}{1+e^x}= \frac{a(1+e^x)}{1+e^x}+ \frac{be^x}{1+e^x}という恒等式を立てて,a,bを求める。
ここでaには分母と約分できるものを,bには分母の微分をそれぞれかけている。
これを解くとa=1, b=-1であるから
\int \frac{1}{1+e^x}dx=\int \frac{1+e^x}{1+e^x}dx+\int \frac{-e^x}{1+e^x}dx=x - \log (1+e^x)

ラグランジュの恒等式

高校数学でたまーに証明込みで出題される恒等式がある。

定理.(ラグランジュ恒等式
(a^2+b^2)(c^2+d^2)=(ac+bd)^2+(ad-bc)^2

両辺ともに展開すればあっというまに証明はできる。
しかしなんでこんな等式が出てきたんだろう,と疑問に思っていた.
今日幾何ベクトルの力を使うとあっさり解決することに気がついた.

(証明)
\vec{a}=\left( \begin{array}{cc} a \\ b\\ \end{array} \right), \vec{b}=\left( \begin{array}{cc} c \\ d\\ \end{array} \right)と定める.
\vec{a},\vec{b}のなす角を\thetaとする.このとき
|\vec{a}|^2|\vec{b}|^2
=|\vec{a}|^2|\vec{b}|^2(\cos^2 \theta + \sin^2 \theta)
=|\vec{a}|^2|\vec{b}|^2\cos^2 \theta + |\vec{a}|^2|\vec{b}|^2 \sin^2 \theta
第1項は(\vec{a} \cdot \vec{b})^2に等しく,
第2項は\vec{a}, \vec{b}の作る平行四辺形の面積の2乗に等しいが,
それは\vec{a}, \vec{b}を列に持つ行列のディターミナントの2乗に等しい.
この等式を成分計算すると上式が示される.(証明終)

岩手大学2018農学部第5問を解く

この年度の問題の中で一番解きやすい問題だ。確実に解きたい。

5.
aを整数とする。整式F(x)=x^4+(a+1)x^3+(2a+4)x^2+(a+5)x+1について,次の問いに答えよ。
(1) 整式F(x)が1次式x+1を因数にもつことを示せ。
(2) F(x)=(x+1)G(x)を満たすG(x)を求めよ。
(3) G(x)=0の解の1つが整数であるとき,aの値を求めよ。

解)
(1)
(証明)
F(-1)=(-1)^4+(a+1) \times (-1)^3 +(2a+4) \times (-1)^2 +(a+5) \times (-1) +1=0
であるから,因数定理より整式F(x)x+1を因数にもつ。(証明終)

(2)
割り算(x^4+(a+1)x^3+(2a+4)x^2+(a+5)x+1) \div (x+1)を実行することで
G(x)=x^3+ax^2+(a+4)x+1を得る。

(3)
整数解mを持つとすると,因数定理より
m^3+am^2+(a+4)m+1=0 \cdots
m^3+am^2+(a+4)m=-1
m(m^2+am+(a+4))=-1
左辺は整数よりm-1の約数であるから,m=\pm 1である。
m=1ならば★に代入してa=-3を得る。
m=-1ならば★に代入すると矛盾する。
よって,a=-3である。

岩手大学2018農学部第4問を解く

最初,一般のr>0でやらせるわりには,途中からr=1で固定するためうまみの少ない問題である。
いつもどおりのルートの混じった定積分が登場するが,慌てずに因数分解して公式を使おう。

4.
 x<0の範囲において,直線\ellが放物線C_1 y=-\frac{1}{2}x^2-rと円C_2 x^2+y^2=r^2の両方に接している。r>0とする。
このとき,次の問いに答えよ。

(1) 円C_2に接する直線の方程式をax+by+c=0とするとき,ra,b,cを用いて表せ。ただし,a,b,cは定数とする。
(2) r=1のとき,直線\ellの方程式を求めよ。
(3) r=1のとき,直線\ellと放物線C_1およびy軸で囲まれた図形の面積を求めよ。

解)
(1)
C_2の中心は原点であり,原点と直線の距離が半径rに等しいとき接するから,
r=\frac{|c|}{\sqrt{a^2*b^2}}である。

(2)
放物線C_1の接線の接点を(t, -\frac{1}{2}t^2-1)とおく。
y'=-xであるから,接点での接線の傾きは-tであるから,接線の方程式は
y-(-\frac{1}{2}t^2-1)=-t(x-t)
である。一般形に整理して
tx+y-\frac{1}{2}t^2+1=0
である。(1)より
\frac{|-\frac{1}{2}t^2+1|}{\sqrt{t^2+1}}=1
分母を払って,両辺を2乗して整理すると
t^2(t^2-8)=0
t=0,\pm 2\sqrt{2}
t<0よりt=-2\sqrt{2}
を得る。以上より接線の方程式はy=2\sqrt{2}x+3である。

(3)
求める面積は
\int_{-2\sqrt{2}}^{0}( ( 2 \sqrt{2}x+3)-(-\frac{1}{2}x^2-1))dx
=\int_{-2\sqrt{2}}^{0}(\frac{1}{2}x^2+2\sqrt{2}x+4)dx
=\frac{1}{2} \int_{-2\sqrt{2} }^{0} (x+2\sqrt{2})^2dx
=\frac{1}{2} [ \frac{1}{3} (x+2\sqrt{2} )^3 ]_{-2 \sqrt{2}}^{0}
=\frac{8 \sqrt{2}}{3}
である。