べっこう色の記録

かつては日記でしたが、現在は数学のことを多く書いています

岩手大学2017農学部第5問を解く

珍しく単純な多項式の問題だが,なんというか,微妙な出題だと思う。
物足りない感じがするので,元々はもうちょっと尾ひれがあったか,
問いたいものがあったのかもしれない。

5.
実数 x について,A=x^4+4x^3+4x^2+5,B=x^2+2x+2とおくとき,次の問いに答えよ。
(1) 整式Aを整式Bで割った商と余りを求めよ。
(2) ABの2次式で表せ。
(3) 設問(2)で求めた式を用いて,\frac{A}{B}の最小値と,そのときのxの値を求めよ。

解)
(1)
割り算を実際実行すればよく,商x^2+2x-2,余り9である。

(2)
(1) の計算から,割り算の原理を使って書き下すと
A=B \times (x^2+2x-2)+9
であるが,x^2+2x-2=B-4よりA=B(B-4)-9=B^2-4B+9となる。

(3)
B=(x+1)^2+1>0であるから(2)の両辺をBで割って,\frac{A}{B}=B-4+\frac{9}{B}を得る。
ここで右辺に相加相乗平均の不等式を用いると,
\frac{A}{B}=B+\frac{9}{B}-4 \geq 2 \times 3 -4 =2
等号成立条件はB=\frac{9}{B},つまりB^2=9B>0よりB=3となる。
これは(x+1)^2+1=3より(x+1)^2=2すなわちx=-1 \pm \sqrt{2}である。
以上よりx=-1 \pm \sqrt{2}で最小値2をとる。