べっこう色の記録

かつては日記でしたが、現在は数学のことを多く書いています

岩手大学2016農学部第3問を解く

3.
89も29も素数なので,(1)はすぐ1であることが分かる.
(2)以降の右辺が-20である意味がつかめないのが悔しい.
おそらく何か由来があると思うのだが….

次の問いに答えよ.
(1)ユークリッドの互除法を用いて,89と29の最大公約数を求めよ.
(2)2元1次不定方程式89x+29y=1の整数解を1組求めよ.
(3)2元1次不定方程式89x+29y=-20の整数解として現れるxの値のうち,
 正のものを小さい順にx_1, x_2, x_3,\cdotsとする.このとき自然数mに対して,
 x_mmで表せ.
(4)(3)で定めたx_mに対し,89x_m+y=-20を満たすyの値をy_mとするとき,
 自然数nに対して,\displaystyle \sum_{m=1}^n (3x_m+y_m)^2nで表せ.

(解)
(1)
割り算することで89 = 29 \cdot 3 + 2,および29 = 2 \cdot 14 + 1となる.
よって最大公約数は1である.

(2)
(1)の1つ目の式を2=89 - 29 \cdot 3と変形し2つ目の式に代入することで,
89 \cdot (-14) + 29 \cdot 43 =1を得るからx=-14,y=43が整数解のうちの1組である.

(3)
89 \cdot (-14) + 29 \cdot 43 =1の両辺を-20倍することで,89 \cdot 280 + 29 \cdot (-860) = -20となる.
つまり89x+29y=-20の整数解は\ellを整数としてx=280-29 \ell, y=-860+89 \ellである.
ここでx>0が最小となるのは\ell=9のとき19をとる.
ゆえにx_mは初項19,公差29の等差数列で表現できるので
x_m = 19 + 29(m-1)=29m-10が得られる.

(4)
89 x_m +29 y_m =-20x_m =29m-10を代入すると,
29y_m=-2581m+870よりy_m = -89m + 30を得る.
これより3x_m + y_m =-2mとなる.以上より
\displaystyle \sum_{m=1}^n (3x_m+y_m)^2 = \sum_{m=1}^n 4m^2 = 4 \cdot \frac{1}{6}n(n+1)(2n+1) = \frac{2}{3}n(n+1)(2n+1).(終)