に対して交代群が非可換であることは,どこかに書いてあるようで書いていない.
実際に
に対して
かつ
であるからアーベル群に成りえない.
(20.09.09 追記)
そういうわけで非可換なわけだが,それに加えては単純群であることが示される.
定義(単純群)
群が自分自身と以外を正規部分群としてもたないとき,単純群という.
定理
は単純群である.
いくつか準備をする.
補題
は3次巡回置換で生成される.
ここで生成されるとは,これらの有限個の積で書かれる,という意味である.
またこれら3個は次のように適切な3次巡回置換で変換される.
ここで変換とはに対して,あるでと表すことである.
(定理の証明)
の正規部分群をとする.
は2個の互換の積,3次巡回置換,5次巡回置換のいずれかを要素に持つ.
それらは適当にの要素でへ変換されるが,
はの正規部分群であるからどれかがに属するとしてよいことになる.
が属するならば補題によりが成り立つ.
またが属するならばがに属する.
がに属する.補題によりが成り立つ.
さらにが属するならばがに属する.
がに属するが,逆元も属するので補題によりが成り立つ.
以上よりいずれの場合にもが成り立つ.(定理の証明終)
これで5次交代群は単純群であることがわかったが,さらに次のことが示される.
定理
は単純群である.
定理
可解群の部分群は可解群である.