べっこう色の記録

かつては日記でしたが、現在は数学のことを多く書いています

岩手大学2016農学部第5問を解く

(1)は座標の決定なのでなるべく低い次数の方程式に帰着させるほうがよいと思う.
(2)はいくつかの方針が考えられる.
代入することでxの方程式にするか,yの方程式にするか,rの方程式にするか.
そのあとは定数を分離するか,判別式か.

5.
放物線y=x^2と円x^2+(y-3)^2=\frac{r^2}{4}について,次の問いに答えよ.
ただし,rは正の定数である.
(1)r=6のとき,放物線と円の共有点の座標をすべて求めよ.
(2)rがすべての正の実数値をとって変化するとき,放物線と円の共有点の個数はどのように変わるか,調べよ.

(解)
(1)
r=6を代入するとx^2+(y-3)^2=9である.
x^2=yを代入して整理するとy(y-5)=0からy=0,5を得る.
y=0のときx=0y=5のときx= \pm \sqrt{5}となる.
共有点の座標は(-\sqrt{5},5),(0,0),(\sqrt{5},5)である.

(2)
y=x^2x^2+(y-3)^2=\frac{r^2}{4}に代入して整理すると,x^4-5x^2+9=\frac{r^2}{4}…(☆)となる.
ここでk=f(x)=x^4-5x^2+9およびk=\frac{r^2}{4}とする.
f'(x)=4x^3-10f'(x)=0とするとx=0, \pm \frac{\sqrt{10}}{2}である.
関数fは偶関数なのでx=0のとき極大値9x=\pm \frac{\sqrt{10}}{2}のとき極小値\frac{11}{4}である.
xk座標上に上記2関数のグラフを描くことで,次のことが分かる.
0<\frac{r^2}{4}<\frac{11}{4}すなわち0 < r <\sqrt{11}のとき,方程式(☆)の解の個数は0個,
\frac{r^2}{4}=\frac{11}{4},\frac{r^2}{4}>9すなわちr=\sqrt{11},r>6のとき,方程式(☆)の解の個数は2個,
\frac{r^2}{4}=9すなわちr=6のとき,方程式(☆)の個数は3個,
\frac{11}{4} < \frac{r^2}{4} < 9すなわち\sqrt{11} < r < 6 のとき,方程式(☆)の解の個数は4個となる.
方程式(☆)の解の個数と放物線と円の共有点の個数は一致するので,解が得られた.(終)