べっこう色の記録

かつては日記でしたが、現在は数学のことを多く書いています

岩手大学2016農学部第4問を解く

(3)の面積比で少しだけ驚いた.
試験会場で余裕がなくなっているとがむしゃらに計算することになるだろう.
実際には曲線と接線で囲まれた部分の面積なので,
被積分関数因数分解できることを考えるとそうでもない.


4.
曲線y=-x^3+3x^2+x-3Cとし,曲線C上の点(3,0)における接線を\ellとする.
(1)接線\ellの方程式を求めよ.
(2)pを実数とし,点(p,q_1)は接線\ell上にあり,点(p,q_2)は曲線C上にあるとする.
 p<3の範囲をpが動くとき,q_1 - q_2の最大値を求めよ.
(3)接線\ellと曲線Cで囲まれた図形は,y軸によって2つの部分に分けられるが,
 それらの面積のうち小さいほうをS,大きいほうをTとするとき,\frac{T}{S}の値を求めよ.
(解)
(1)
y'=-3x^2+6x+1からx=3のときy'=-8である.
よって\ell y=-8(x-3)=-8x+24である.

(2)
f(p) = q_1 - q_2と定める.
f(p)=(-8p+24)-(-p^3+3p^2+p-3)=p^3-3p^2-9p+27となる.
微分して
f'(p)=3p^2-6p-9=3(p+1)(p-3)
であるからp<3の範囲では増減表をかくことでp=-1で最大値をとることが分かる.
つまりq_1 - q_2p=-1のとき最大値32をとる.

(3)
直線\ellと曲線Cの差はf(x)=x^3-3x^2-9x+27=(x+3)(x-3)^2である.
f因数分解からy軸よりも左側の積分区間-3 \leq x \leq 0であり,
y軸よりも右側の積分区間0 \leq x \leq 3である.
(左側)\displaystyle =\int_{-3}^0(x+3)(x-3)^2dx
\displaystyle =\int_{-3}^0(x-3+6)(x-3)^2dx
\displaystyle =\int_{-3}^0((x-3)^3+6(x-3)^2)dx
\displaystyle = [  \frac{1}{4}(x-3)^4 + 2(x-3)^3 ]_{-3}^0
\displaystyle =\frac{1}{4}((-3)^4-(-6)^4)+2((-3)^3-(-6)^3)
\displaystyle =\frac{297}{4}

(右側)\displaystyle =\int_0^3(x+3)(x-3)^2dx
\displaystyle =\int_0^3(x-3+6)(x-3)^2dx
\displaystyle =\int_0^3((x-3)^3+6(x-3)^2)dx
\displaystyle = [  \frac{1}{4}(x-3)^4 + 2(x-3)^3 ]_0^3
\displaystyle =\frac{1}{4}(0^4-(-3)^4)+2(0^3-(-3)^3)
\displaystyle =\frac{135}{4}

つまり\displaystyle S=\frac{135}{4},T=\frac{297}{4}であり,\displaystyle \frac{T}{S}=\frac{11}{5}