べっこう色の記録

かつては日記でしたが、現在は数学のことを多く書いています

ある連続関数の証明

問.実数上の関数fで,既約分数に対しては分子を1にし,無理数に対しては0となる関数は
無理数では連続であることを示せ.

(20.6.13)
昔,全く解けず手も足も出なかった問題である.
この問題をここにアップしたときも解けていなかった.
時間があったら考えよう,という意図のもとであげたのを覚えている.

(22.9.23)
(証明)
任意の\varepsilon > 0無理数\alphaをとる.
アルキメデスの原理よりあるn_0 \in \mathbb{N}\frac{1}{n_0} < \varepsilonとなるものが存在する.
ここで既約分数\frac{m}{n}m \in \mathbb{Z}, n\in \mathbb{N}, n< n_0)について,開区間(\alpha -1, \alpha +1)に属するものは高々有限個である.それらをq_1,q_2,q_3, \ldots, q_Nとする.
 \delta := \frac{1}{2} \min \{ 1, |q_1 -\alpha|, |q_2 - \alpha|, |q_3 - \alpha|, \ldots, |q_N -\alpha| \}とする.
 | x - \alpha| < \deltaとなるすべてのxについて,
x有理数であれば既約分数で表すと分母はn_0以下であるから|f(x)|< \varepsilonである.
x無理数であればf(x)=0より|f(x)|< \varepsilonである.
したがって関数f無理数\alphaで連続である.(証明終)

この問いを出されたのは10年以上前の学生のころだった.それがようやく解けた.
出題した先生もあまりの遅さにあきれるとは思うが,様々なことがあったこの間,時々思い出しぼんやり考えてまた忘れて,とやっていたからこそ解けた気がする.
今後もすぐに解けなくても,こうやって粘り強く勉強していこうと考えている.