べっこう色の記録

かつては日記でしたが、現在は数学のことを多く書いています

行列式と逆行列

相変わらず行列式はよく分からない.
よく分からないなりに,逆行列の原理は分かった気がする.

1)一意的であること
n次正方行列A=(a_{jk})_{j,k=1}^{n}に対して逆行列A^{-1}は一意的である.
まずA_{1}A=AA_{2}=EとなるA_{1},A_{2}が存在するとする.
行列の積の結合法則から,
A_{1}=A_{1}E=A_{1}(AA_{2})=(A_{1}A)A_{2}=EA_{2}=A_{2}となる.
逆行列の定義A^{-1}A=AA^{-1}=Eから,一意性が分かる.

2)余因子展開の式を眺める
行列A(j,k)余因子をA_{jk}であらわす.
このとき,次の二式が成り立つ.
\sum_{j=1}^{n} a_{jk}A_{jk}=\det A  つまり \frac{1}{\det A}\sum_{k=1}^{n} a_{jk}A_{jk}=1
\sum_{j=1}^{n} a_{jk}A_{jl}=0 (k \not{=} l)
行列式の定義と性質を組み合わせると出てくる式である.
この二式から,逆行列を導出できるのである.

3)逆行列の構成
余因子行列を\tilde{A}:=(A_{jk})_{j,k=1}^{n}と定め,A^{-1}=\frac{1}{\det A } {}^t \tilde{A} と定めると逆行列である.

しかし,どうしてこれでうまくいくことに気がついたのかよく分からない.