べっこう色の記録

かつては日記でしたが、現在は数学のことを多く書いています

ドップラー効果2

今日,少し考え直してわざわざ距離を考える必要がないことに気がついたので書いておく.

音源が近づく場合
音源がv_{0}[m/s]で一直線上を動くとする.
また音源が発する音は振動数f[Hz],波長\lambda[m],音速v[m/s]とする.
波動の式から f=\frac{v}{\lambda} となることに注意する.

この設定は前回と変わらない.

1波長分音が出るのにかかる時間は,音源が動かない場合を考えればよく, \frac{\lambda}{v} = \frac{1}{f}[s] である.
この間にも音源は前進する.その距離は \frac{v_{0}}{f}[m] である.
これより,動く音源の波長\lambda'[m]はこの分だけ減少し,\lambda'=\lambda - \frac{v_{0}}{f} =\frac{v}{f}-\frac{v_{0}}{f}= \frac{v-v_{0}}{f}[m]となる.
求める振動数f'[Hz]は,音速v[m/s]が不変であることから波動の式より
  f' \lambda'=v
  f' \frac{v-v_{0}}{f}=v
  f'=\frac{v}{v-v_{0}}f
ゆえに示される.

音源に近づく場合
観測者が音源に速度v_{1}[m/s]で近づいていく状況を考える.
また音源が発する音は振動数f[Hz],波長\lambda[m],音速v[m/s]とする.

1[s]間に観測者が受け取る1波長分の音の個数は,振動数の定義より \frac{v}{\lambda}=f[個] である.
観測者はv_{1}[m]進むので,それだけ観測者が受け取る音も増加する.
v_{1}[m]の中には\frac{v_{1}}{\lambda}=\frac{v_{1}}{v}f[個]の1波長分の波が存在する.
つまり観測者は1[s]間に,計f+\frac{v_{1}}{v}f=\frac{v+v_{1}}{v}f個の1波長分の波を受け取る.
振動数の定義より,観測者が聞く音の振動数 f'[Hz] はf'= \frac{v+v_{1}}{v}f[Hz]である.