べっこう色の記録

かつては日記でしたが、現在は数学のことを多く書いています

ドップラー効果

忘れてしまったドップラー効果を思い出す.

高校のころは当然(?)式の丸暗記をしていた.
試験が終わってしまうとすべて忘却、という典型的なダメ生徒だった.

今となっては年齢のせいか,さっぱり暗記ができなくなってしまった.
というわけで代わりに理論的に,数式の意味を考えて理解することとしよう.

波動の一般的な話
そもそも音は波動である.したがって一般的な波動の式が適用できる.

波動は振動が媒質を伝わった結果として現れるものである.
したがって,1秒間に何回振動したか,が重要である.
これを振動数fといい単位[Hz]で表す.

正弦曲線を描く波動を正弦波という.
正弦波の波形の隣り合う高いところ(山)の長さを波長\lambdaという.

波動が進む速さvは次の式で表される.v=f \lambda

音源が近づく場合
音源と観測者の距離をl[m]とおく.
ここでは音源がv_{0}[m/s]で一直線上を動くとする.
また音源が発する音は振動数f[Hz],波長\lambda[m],音速v[m/s]とする.
波動の式から f=\frac{v}{\lambda} となることに注意する.

目標は観測者が聞く音の高さが高くなること,言い換えると振動数が増加することを示すことである.

方針を述べる.
まず,音源が動き出すときに出した音が観測者に届くまでの時間を求める.
次に,その時間の間に音源が進むことから波長が短くなることを見る.
最後に,波動の式から振動数f'を求める.

まず,音源が動き出すときに出した音が観測者に届くまでの時間t_{0}
  l=v t_{0}
であるから波動の式から
  t_{0}=\frac{l}{v}=\frac{l}{f \lambda}
となる.ゆえに音が観測者に届いたときの音源と観測者との距離は
  l-v_{0}t_{0}=l-\frac{v_{0}}{v}l
である.この音源と観測者の間にft_{0}=\frac{l}{\lambda}個の波が入っている.
ここで1個分の波とは1波長分の波の意味である.
よって,波長\lambda '
  \lambda '=\frac{(1-v_{0}/v)l}{l/\lambda}=\frac{v-v_{0}}{v}\lambda
となる.音速そのものは変化しないことから,求める振動数f'は波動の式より
  f' \lambda'=v
  f' \frac{v-v_{0}}{v}\lambda=v
  f'=\frac{v}{v-v_{0}} \frac{v}{\lambda}
  f'=\frac{v}{v-v_{0}} f
分母v-v_{0}は分子vより小さいので,聞こえる音の振動数f'は元の振動数fより増加する.つまり音は高く聞こえる.