ルベーグ非可測集合の存在証明

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定理
ルベーグ非可測集合が存在する.□

(証明)
Bをハメル基底とし,任意のa \in Bを1個固定する.
A:=\{ \normalsize{\sum_{j=1}^{k}} r_{j}x_{j} \mid x_{j} \in B \setminus \{ a \}, r_{j} \in \mathbb{Q} \}と定める.
この集合A \subset \mathbb{R}ルベーグ非可測集合であることを示す.
背理法による.すなわちA \in \cal{M}(\mathbb{R})であると仮定する.

第1段:m(A) > 0が成立する.
r \in \mathbb{Q}に対して,A_{r}:=\{ x+ra \mid x \in A \} = A + raと定める.
Aは可測集合であるから,m(A_{r})=m(A)が成り立つ.
ここでBがハメル基底であることから,\displaystyle \mathbb{R}=\cup_{r \in \mathbb{Q}} A_{r}より
  \displaystyle \infty = m(\mathbb{R})= m(\bigcup_{r \in \mathbb{Q}} A_{r}) \leq \sum_{r \in \mathbb{Q}}m(A_{r})
つまり,m(A)=0ならば無限大にはなりえないので,m(A) > 0がわかる.

第2段:ある相異なるr,s \in \mathbb{Q}が存在してA_{r} \cap A_{s} \neq \emptysetが成り立つ.
第1段よりm(A)>0なので,ある右半開区間[n_{0},n_{0}+1)が存在してm(A \cap [n_{0},n_{0}+1))>0となる.
背理法を用いる,つまりすべての有理数r,sに対してA_{r,n_{0}}:=A \cap [n_{0},n_{0}+1)+ra,\, A_{s,n_{0}}の共通部分が空集合であると仮定する.
ルベーグ測度mの完全加法性から次の計算が成り立つ.
  \displaystyle m(\bigcup_{r \in \mathbb{Q}, 0 < r < 1 } A_{r,n_{0} } ) = \sum_{r \in \mathbb{Q}, 0 < r < 1 } m(A_{r,n_{0}})=\sum_{r \in \mathbb{Q}  ,  0  < r < 1 } m(A \cup [ n_{0} , n_{0}+1) )=\infty
一方,\displaystyle \bigcup_{r \in \mathbb{Q}, 0 < r < 1 }A_{r,n_{0}} \subset [n_{0}-|a|,n_{0}+1+|a|]であるから,\displaystyle m(\bigcup_{r \in \mathbb{Q}, 0 < r < 1 }A_{r,n_{0}})<\inftyより矛盾する.
以上でA_{r} \cap A_{s} \neq \emptysetとなる実数r,sの存在がわかった.
これより x,y \in Aが存在して,x+ra=y+saとなるが,これはA \ni x-y=a(s-r) \notin Aとなる.これは矛盾である.
以上よりAルベーグ非可測集合であることが示された.(証明終)