べっこう色の記録

かつては日記でしたが、現在は数学のことを多く書いています

常微分方程式の基本的な解法(同次形)

 同次形について紹介する.
 f=f(x,y),g=g(x,y)x,yについて同次式であり,
その次数が一致しているとき

  \frac{dx}{dt}(t) = \frac{f(x(t),t)}{g(x(t),t)}   (1)

は,同次形と呼ばれる.
 ここで同次式の例を挙げておく.
 x^{3}+x^{2} y+4y^3x,yについて3次の同次式である.

 さて,同次形の常微分方程式を解こう.ここでf,gk次式であるとする.
解くために,x=x(t)が特別な形になっているものと仮定し,
それを突破口にする.すなわち,

  \tilde{x}(t):=t^{-1} x(t) \Leftrightarrow x(t)=t\, \tilde{x}(t)   (2)

とおく.これを(1)の右辺に代入すると,f,gk次式であるから,

  \frac{f(x(t),t)}{g(x(t),t)}=\frac{t^{k}\, f(\tilde{x}(t),1)}{t^{k}\,g(\tilde{x}(t),1)}=\frac{f(\tilde{x}(t),1)}{g(\tilde{x}(t),1)}

となり,\tilde{x}=\tilde{x}(t)のみの式となる.
 一方,(1)の左辺も\tilde{x}=\tilde{x}(t)の式にするため,
(2)の両辺をt微分すると

  \frac{dx}{dt}(t)=\tilde{x}(t)+t\, \frac{d \tilde{x}}{d t}(t)

である.よってこの式を(1)の右辺に代入すると,

  \tilde{x}(t)+t\, \frac{d \tilde{x}}{d t}(t)=\frac{f(\tilde{x}(t),1)}{g(\tilde{x}(t),1)}

が得られる.これより

  \frac{d \tilde{x}}{d t}(t)= \frac{1}{t} \frac{f(\tilde{x}(t),1)-\tilde{x}g(\tilde{x}(t),1)}{g(\tilde{x}(t),1)}

となる.これは変数分離形である.