べっこう色の記録

かつては日記でしたが、現在は数学のことを多く書いています

常微分方程式の基本的な解法(変数分離形)

 解くことができる常微分方程式をいくつか紹介する.
まずは,変数分離形の場合である.

  \frac{dx}{dt}(t) = f(t)g(x(t))

の形の常微分方程式変数分離形という.
g(x(t)) \not{=} 0の範囲でg(x(t))を割ると

  \frac{1}{g(x(t))}\frac{dx}{dt}(t) = f(t)

となる.ここで積分変数を\tauに変えて,両辺積分すると,

  \int^{t} \frac{1}{g(x(\tau))}\frac{dx}{dt}(\tau) d \tau= \int^{t} f(\tau) d \tau + C  (ただしC積分定数

が得られる.すなわち,(x(t)のみの式)=tのみの式)が成り立つ.
すなわち,解を得たということになる.
ここで積分定数Cは初期値が定まれば,一意的に定まる.



1.\frac{dx}{dt}(t)=x(t), \quad x(0)=1.
 両辺をx(t) \not{=} 0の範囲で割って,
  \frac{1}{x(t)}\frac{dx}{dt}(t)=1
となる.積分変数を\tauに変え,0からtまで積分すると,
  \int_{0}^{t} \frac{1}{x(\tau)}\frac{dx}{d \tau}(\tau)= \int_{0}^{t} d \tau
  \log \left| \frac{x(t)}{x(0)} \right|= t
e^{t} > 0により,
  x(t)=e^{t}
が得られる.


2.\frac{dx}{dt}(t)=(x(t))^{2}, \quad x(0)=1.
 両辺をx(t) \not{=} 0の範囲で割って,
  \frac{1}{(x(t))^{2}}\frac{dx}{dt}(t)=1.
1と同様にして,
  -\frac{1}{x(t)}+\frac{1}{x(0)}=t
これより
  x(t)=\frac{1}{1-t}
が得られる.

注意
 例1と2は線形常微分方程式非線形常微分方程式の違いを示している.
線形の場合(例1)はtが如何なる場合にもx(t)は有限の値である.
非線形の場合(例2)はt \in (-\infty,1)の場合にしか定義されず,
t \rightarrow 1-0とすると,x(t) \uparrow \inftyとなる.これを解の爆発と呼ぶ.