直積群の基本

を群としたとき,直積集合の元に次のように演算を入れる。 右辺のそれぞれの成分は,元の群の演算をおこなうこととする。これで直積集合は群となる。直積群,もしくは単に直積と呼ぶ。群の部分群が次の2条件を満たすとする。 1) の任意の元との任意の元は可…

ナブラの計算(1回目)

ナブラというものがある。 で定義する。 ここでは各軸の正方向の単位ベクトル(=基本ベクトル)である。なんだこれは,というと3変数の関数の勾配を表している。つまりナブラは微分作用素であって,関数に対して となり各成分の方向への偏微分をベクトルで…

三角不等式(絶対値)

実数に対して,次の不等式が成立する。 . この不等式を三角不等式という。証明は右辺の平方と左辺の平方を計算する方法が教科書にある。 ほかにもこのような方法もよく知られている。(証明) 絶対値の性質から従う式の辺々を加えると, となる。これと証明…

前の日の複素数の方程式(東北大学)の記事について

問題文には必要十分条件であることを示せ、と書かれているが果たしてこれでいいのだろうか、と一瞬迷った。 つまり議論的にはがちょうど2個存在するための十分条件を求めただけのように見える。 逆はいいのか…?という話である。結論から言うと問題ない。 な…

東北大学2017年数学問5を解く

難しかった。複素数の方程式の解の存在条件なんて知らなかったからだ。 かなり考えて、結局は実数の話にすりかえることで解決できることに気がついた。5.を複素数とし,…(*)を満たす複素数を考える. 以下の問いに答えよ. (1) はを満たすことを示せ. (2)…

岩手大学2017農学部第5問を解く

珍しく単純な多項式の問題だが,なんというか,微妙な出題だと思う。 物足りない感じがするので,元々はもうちょっと尾ひれがあったか, 問いたいものがあったのかもしれない。5. 実数 について,とおくとき,次の問いに答えよ。 (1) 整式を整式で割った商…

岩手大学2017農学部第4問を解く

例によって,関数のグラフをかくことはできない。 技術の問題である…。 そして数学2の積分の分野のオーソドックスな問題であって,練習に丁度いいと思う。 ただし放物線の次数を昇べきの順にしているのは少しだけいじわるのような気がする。 ま、マイナスを…

岩手大学2017農学部第2問を解く

今年度も平面のベクトルだった。 (2)でベクトルの話から点の話へ移っているのは、ベクトルの成分を求めよ、だといまいちかっこつかないからだろうか。 2. 座標平面上で原点をOとし、3点をとり、とおく。また、線分ABをに内分する点をP、線分BCをに内分する…

岩手大学2017農学部第1問を解く

小問集合である. 出題ミスがあったようで(1)は載っていなかった. ググるとすぐに問題を知ることはできて,次のような問題だったようである. (1) 鋭角三角形ABCにおいてとするとき,辺ABの長さと△ABCの面積を求めよ. 鋭角三角形にならないのでミスになっ…

東進数学コンクール第44回に挑んだ

かなり手ごわかった. いままで関数方程式を真剣に考えたことがなかっただけにつらかった. あまりに冗長になったが,なんとか一応の解答を得たので公開する. ちなみに締切日は昨日だった. 問題は東進のWebページで見てもらいたい. 解答はいつごろ発表な…

控えめな有理数(滋賀医科大学医学部2016)

「控えめな」という変わった名づけ方なので、これには数学的にそうすべき理由があると思われる。 (2)が大ヒントであって、これがなければ思いつきにくいと思う。 そして問題の全体的な議論は可換環のイデアルの問題の初歩に似ているように感じる。2. 分母…

最小公倍数を求める方法

とする.定理. が成立する.(証明) (は互い素)とする. このときであるからとなる. よってとなる.(証明終)この定理を眺めると,最小公倍数を求める手順に次のようなものがあることに気がつく. 1.ユークリッドの互除法でを求める. 2.をで割り,2…

ユークリッドの互除法について

の最大公約数をと表す.定理.(ユークリッドの互除法) を整数として,をで割った余りをとする. このとき,.教科書の証明はなんだか文章ばかりで難しかった覚えがある. 今ならできるだろうか…?(証明) をで割った商をとするとと表せる. 右辺をみると…

二次形式って何ですか?

正直に告白すると、二次形式というものを勉強したことがない。 使ったことが全くない。Wikipediaによれば、二次形式は多方面で中心的な地位を占めるもののようだ…。 全く知らない。いままで中心を回避して勉強していたということなのだろうか。 まるで複素積…

カップル成立の確率

安田亨先生の伝説の良問100を読んでいたら,次の問題があった。問. 男性が2人,女性が2人いる。各々は自分の異性をでたらめに1人指名する。 互いに相手を指名すればカップルが成立するものとして, ちょうど1組カップルが成立する確率を求めよ。n人まで一般…

ルベーグ積分の定義

いよいよルベーグ積分の定義に入っていこう.[1] 非負単関数 非負単関数に対して,そのルベーグ積分を と定義する.[2] 非負可測関数 非負可測関数に対して,そのルベーグ積分を はを満たす非負値単関数 と定義する.可測集合上の積分はに指示関数を乗したも…

単関数列と可測関数

定義(単関数) 値を有限個しか持たない関数を単関数という.ただし値としてを許す. 数式で表すとが単関数であるとは次のとおりである. および相異なる実数を用いて とかけることである.ここでは集合の指示関数(特性関数)といい のときで,のときを満た…

リーマン積分からルベーグ積分への転換は「たて」から「よこ」へにある

このルベーグ積分の話を始めた2年以上前の記事を見ると次のようなことが書いてある.「すべての話の始まりは,様々な図形の面積・体積を測るにはどうすればいいかということだ. 素朴に考えると,長方形の面積・体積を定義し, 他の図形は長方形の近似で考…

岩手大学2016農学部第5問を解く

(1)は座標の決定なのでなるべく低い次数の方程式に帰着させるほうがよいと思う. (2)はいくつかの方針が考えられる. 代入することでの方程式にするか,の方程式にするか,の方程式にするか. そのあとは定数を分離するか,判別式か.5. 放物線と円について…

岩手大学2016農学部第4問を解く

(3)の面積比で少しだけ驚いた. 試験会場で余裕がなくなっているとがむしゃらに計算することになるだろう. 実際には曲線と接線で囲まれた部分の面積なので, 被積分関数が因数分解できることを考えるとそうでもない. 4. 曲線をとし,曲線上の点における接…

岩手大学2016農学部第3問を解く

3. 89も29も素数なので,(1)はすぐ1であることが分かる. (2)以降の右辺が-20である意味がつかめないのが悔しい. おそらく何か由来があると思うのだが….次の問いに答えよ. (1)ユークリッドの互除法を用いて,89と29の最大公約数を求めよ. (2)2元1次不定…

素元と既約元

何度考えても混乱するのでまとめてみる. こういうところで書いておけば少しは頭に入るだろう. を可換環とする. が素元とはならばまたはが成り立つことを言う. が既約元とはならばまたはのいずれか一方が単元であることを言う. 単元とは可換な元のことを…

双曲線関数,再び

双曲線関数 - アクセス不能の原因。 ここでも書いたとおり,大学1年のころにを学んだ. こんなものがあるのか,と思いながらいまいち使う機会もなくぼんやりと覚えるにとどまった.最近,円の方程式からを定める話の類似で, 双曲線の方程式からと定めるこ…

数学の記事の定理などに証明を埋め込む

数学の記事を書くのは面白いのだが、困っていたのは証明である。 数学は証明が絶対必要だが、記事として読むときには少しわずらわしさを感じることがある。 大まかに概要をつかみたいときには証明はとにかく脇に置いておきたいときもある。今まではそういう…

岩手大学2016農学部第2問を解く

前回から大幅に開いてしまった….忙しかったのだ. 問題ももちろん忘れていたので結局解きなおした. 典型的な平面の幾何ベクトルである. 空間の幾何ベクトルが出なかったことに驚きを隠せない. なんだろう,空間の幾何ベクトルの問題だと正答率が下がるか…

岩手大学2016農学部第1問を解く

小問集合である. 昨年度同様,受験者を惑わせる,無駄に大きくどうでもいい数値設定である.1. (1) 2次関数 の最小値が負であるような定数 の範囲を求めよ. 解) 与えられた関数を平方完成すると である. 頂点の座標は なので, のとき最小値 である. …

多項式の既約判定について

を可換環とする. 多項式が上既約であるとは,単元でなく,積の形で書いたときに少なくともどちらか一方は単元であることを意味する. つまり 1) 2) ならば または からなる2条件を満たすときを言う.そうでないときは可約という.中学校や高校の段階では因…

図形と方程式・幾何ベクトル・複素平面の関係

高校の数学2で図形と方程式という分野を学ぶ。 このときまでは直線はで、放物線はということは知っている。 図形は方程式で表現できる、ということをこの新しい分野で学ぶわけだ。次に数学Bで幾何ベクトルを学び、さらに数学3で複素平面を、と進んでいく。…

e(自然対数の底、ネイピア数、ネピア数)の話

自然対数の底,ネイピア数と呼ばれる数eがある。 日本では数学IIIで学ぶ。教科書では次の定義で導入される。 この式を眺めていてもよく分からない。その理由は対数の微分にある。に導関数の定義式を適用する。 の極限を考えることになるが,最右辺のの中身が…

n次正方行列のスペクトル分解

スペクトル分解を学んだことがなかったので,少しだけ考えたあと教科書を調べた。 一般のn次正方行列でできると思って考えていたのだが,教科書には正規行列であることが必要十分とあった。もう少し勉強してから,ここに書くつもりである。