定義(単関数)
値を有限個しか持たない関数を単関数という.ただし値としてを許す.
数式で表すとが単関数であるとは次のとおりである.
および相異なる実数を用いて
とかけることである.ここでは集合の指示関数(特性関数)といい
のときで,のときを満たす関数と定義される.
ところどころで一定の値をとり,しかもその値の出方は有限個に限られるものなので,扱いやすいといえる.
どんなものが単関数かは以下の例を見てもらえばより一層分かるだろう.
例(単関数の例)
1) 定数関数は単関数である.
2) で1,で2をとり,その他はすべて0をとる関数は単関数である.
例(単関数でない例)
1) 1次関数や2次関数は単関数でない.
2) で定義された関数であり,で,で,でのように長さがになるたびに関数の値にされる関数も段々になっているが単関数ではない.無限個の値をとるからである.
まずこの単関数に対してルベーグ積分を定義する.
そして他の関数に拡張することを考えるわけだが,このアイディアを支えるのが次の定理である.
定理.(可測関数は単関数で下から近似できる)
は可測関数であり,非負値でを許すとする.このとき,以下の条件を満たす単関数列が存在する.
i) 各に対し,.
ii) すべてのは有界な関数かつを満たす.
i)は可測関数は単関数で下から近似できることいっており,
ii)の後半は各単関数の定義域がおおよそ有限な範囲に収まっていることをいっている.