べっこう色の記録

かつては日記でしたが、現在は数学のことを多く書いています

等差数列の基礎

マニアックな数列ばかり取り扱って、基本的な数列をやっていなかった。

このような数列を考える。
 5, 8, 11, 14, …
はじめの数に3ずつ足して作られる数列である。
同じ数を足している、ということは隣あったものどうしは差が一定ということである。
つまり8-5=3, 11-8=3, 14-11=3, \ldotsである。
隣り合ったものどうしの差が一定の数列を等差数列という。
はじめの数を初項、一定の差を公差、n番目を第n項という。

並べ替えの不等式

orz107orz.hatenablog.com
この記事の意味がさっぱり分からない。
一体なにをしようとしていたのか…?今となってはもう解明できない気がする。

この記事で述べられている、並べ替えの不等式はこのことだろうか。
3個のバージョンを書いておく。
実数a_1>a_2>a_3およびb_1>b_2>b_3において、b_1,b_2,b_3を任意に並べ替えたものをc_1,c_2,c_3とする。
このとき次の並べ替えの不等式が成立する。
a_1 b_1 + a_2 b_2 + a_3 b_3 \geq a_1 c_1 + a_2 c_2 + a_3 c_3 \geq a_1 b_3 + a_2 b_2 + a_3 b_1

複素積分の値が媒介変数による例

前回の記事のつづき。
端点だけでは積分の値を1つに定められない例を挙げる。
つまり関数として正則でないものを挙げればよい。

例.関数f(z)=\bar{z}について考える。
端点を-11とし、複素積分を考える。
1) 積分C_1を実軸に沿って考えた場合
パラメータはz(t)=t-1 \leq t \leq 1)ととる。
\int_{C_1}\bar{z}dz = \int_{-1}^1 t \cdot (t)' dt =\int_{-1}^1 t dt = 0.(奇関数の性質)
2) 積分C_2を半円として考えた場合
パラメータはz(t)=e^{it}\pi \leq t \leq 0)ととる。
\int_{C_2}\bar{z}dz = \int_{\pi}^0 \overline{e^{it}} (e^{it})' dt =\int_\pi^0 e^{-it} i e^{it} dt = \int_\pi^0 i dt=-\pi i

コーシーの積分定理の気持ちを自分なりにかいてみる

orz107orz.hatenablog.com
コーシーの積分定理の主張はここでかいた。
驚異的な定理と書いたが、この定理の気持ちを自分なりに書いてみる。

高校のころに学ぶ、実軸上の1変数関数の積分を思い出そう。
簡単のため閉区間I= [ a, b ] 上でf >0である関数の積分\int_a^b f(x) dxを考える。
これは関数f、2直線x=a, x=b、実軸の4曲線で囲まれた部分の面積であって、
様々な要素がからんでいて面積など求められないと思うはず。
しかしF'=fである関数が存在すれば、面積は\int_a^b f(x) dx=F(b) - F(a)で求められる。
驚きはxは両端の値だけがこの量に関与しているわけで、途中の値は見なくてよいことである。

複素関数に戻る。
複素積分\int_C f(z)dzは次のような線積分で定義される。
C積分路で複素平面上の有限で滑らかな路であるとする。
Cの両端は複素数である。例えば\alpha, \betaがその両端とする。
媒介変数表示して C : z=z(t), a \leq t \leq bとし\int_C f(z)dz=\int_a^b f(z(t))z'(t)dtと定義する。
さらりと媒介変数z=z(t)を持ち出したが、右辺がz=z(t)のとり方に依存している。実際、その取り方を変えると積分の値がまるで変わってしまうものもある。
しかし上でやったように1変数の積分を思い出せば、どのようにz=z(t)をとっても積分の値が変わって欲しくない。
ここでもし、「F'=fとなる関数」があれば「合成関数の積分」であるわけだから、形式的には\int_a^b f(z(t))z'(t)dt=[ F(z(t))  ]_a^b=F(z(b))-F(z(a))=F(\beta)-F(\alpha)となり、うまくいきそうである。

このF''はなんだろうか。
実軸上の1変数関数ではないので、上記微分とはわけが違う。

これは複素微分の意味での微分であって、それこそ正則ということである。
つまり正則であれば、両端の値のみで積分の値が決まると考えられる。
そのとき閉曲線は、両端が一致しているわけであるから積分値は0と想像できるわけだ。

ちなみにこの想像は正しく、fが正則であればどのように媒介変数をとっても積分値は一定である。
それを保証する定理こそがコーシーの積分定理である。

条件付き確率の有名な問題とその計算

ネット上でも有名なアレである。

問.(隣の家の子どもの性別)
1) 隣の家に家族が越してきた。子どもが2人おり、1人は男であるという。2人とも男である確率を求めよ。
2) 隣の家に家族が越してきた。子どもが2人おり、そのうちの1人の男の子どもが外で遊んでいるのを見た。もう1人が男である確率を求めよ。

解.
1) きょうだいのうち、年上が男であるという事象をA、年下が男であるという事象をBとする。
このときP(A)=P(B)=\frac{1}{2}であり、P(A \cap B)=P(A) \times P(B)=\frac{1}{2} \times \frac{1}{2}=\frac{1}{4}である。
いずれかが男である確率はP(A \cup B)=P(A)+P(B)-P(A \cap B)=\frac{3}{4}である。
いずれかが男であったとき、いずれも男である条件付き確率はP_{A \cup B}(A \cap B)=\frac{P(A \cap B)}{P(A \cup B)}=\frac{1/4}{3/4}=\frac{1}{3}

2) 見たのが兄であっても、弟であっても、もう1人のきょうだいの性別には影響しない。
よってもう1人が男である確率は\frac{1}{2}である。