べっこう色の記録

かつては日記でしたが、現在は数学のことを多く書いています

n進数の初歩の初歩の初歩

正直に言うと、この話はそこまで詳しくない。
高校レベルくらいまでのことしか知らない。
そんな初歩の話を書いてみる試みだ。

その1.普段の数
日常生活で使う数は31や1200と書かれる。
31は小学校以来「さんいち」ではなく「さんじゅういち」、1200は「いちにぜろぜろ」でなく「せんにひゃく」と読む。
これは「31=十の位に3+一の位に1」とか「1200=千の位に1+百の位に2+十の位に0+一の位に0」という意味だ。

ところで各位は10を使って、一=10^0、十=10^1、百=10^2、千=10^3…と解釈できることから、31=3 \times 10^1 + 1 \times 10^0であり、
1200=1 \times 10^3 +2 \times 10^2 + 0 \times 10^1 +0 \times 10^0と見ることができる。
このように位の単位を10にする書き方を十進数(じっしんすう、じゅっしんすう)という。

つまり普通の数は、十進数である。

その2.位の単位を変えると…
1 \times 2^3 + 0 \times 2^2 + 0 \times 2^1 + 1 \times 2^0という数を考えよう。
普通の数(=十進数)と見れば、計算することで9と分かる。
これを位の単位が2の数であると見ると、1001(「いちぜろぜろいち」と発音する)という数と考えることができる。
位の単位が2の数を二進数(にしんすう)という。

本当は二進数なのに何もせずに1001と書くと「せんいち」と間違えられるので,
右下に小さく(2)と書く。つまり9_{(10)}=1001_{(2)}である。

曲線の長さを極座標で

曲線がx=x(t),y=y(t)a \leq t \leq b)と表されているとき,その曲線の長さL
 \displaystyle L=\int_a^b \sqrt{(\frac{dx }{dt}(t))^2+(\frac{dy }{dt}(t))^2}dt

この式の意味をおおまかに考える。
x方向の小さい変化\Delta xに対して,この曲線のy方向が\Delta yと変化しているとする。
この分の曲線の長さはピタゴラスの定理\sqrt{(\Delta x)^2+(\Delta y)^2}で求められる。
あとはこれらの曲線を足し合わせて極限をとれば,\int \sqrt{(d x)^2+(d y)^2}…(1)となる。
最後にdx=\frac{dx}{dt}dtなどとパラメータの微分と思えば上式が導ける。

ところで(1)の式を極座標でとりなおす。つまりx=r \cos \theta , y=r \sin \thetaとする。
このときd微分と同じ法則で残すことにする。
例えばd(fg)=d(f) \cdot g+f \cdot d(g)d(\sin \theta)=\cos \theta \cdot d\thetaのように。

さて(1)のルートの中身を調べていこう。
d(r \cos \theta)=dr \cdot ( \cos \theta)-r \sin \theta \cdot (d \theta)
かつd(r \sin \theta)=dr \cdot ( \sin \theta)+r \cos \theta \cdot (d \theta)であるから2乗すると,
(d(r \cos \theta))^2=(dr)^2 \cdot ( \cos^2 \theta) -2 \sin \theta \cos \theta dr d\theta+r^2 \sin^2 \theta \cdot (d \theta)^2
かつ(d(r \sin \theta))^2=(dr)^2 \cdot ( \sin^2 \theta) +2 \sin \theta \cos \theta dr d\theta+r^2 \cos^2 \theta \cdot (d \theta)^2
つまり(1)は\displaystyle \int \sqrt{(d x)^2+(d y)^2}=\int \sqrt{ (dr)^2 +r^2 (d \theta)^2 }=\int \sqrt{ r^2+ (\frac{dr}{d \theta})^2 }d \theta

角度のパラメータの積分になっている。場合によってはこれの方が計算しやすいだろう。

2次関数の最大値・最小値の問題

2次関数の最大値・最小値の問題は,必ず関数のグラフで解決すべき問題だ。

例題.関数y=x^2-2x+3-1 \leq x \leq 4の最大値と最小値を求めよ。

流れを確認する。
1.2次関数のグラフをかくために,関数を平方完成する。
2.頂点と端点に注目して関数のグラフをかく。
3.目で見て,高さが一番高いところと一番低いところを調べる。

解)与えられた関数を平方完成する。
y=x^2-2x+3
 =(x-1)^2+2
つまり頂点の座標は(1,2)で下に凸の2次関数である。
xの定義域は-1 \leq x \leq 4であるから,与えられた関数のグラフは次のとおりである。
https://www.wolframalpha.com/input/?i=y%3Dx%5E2-2x%2B3,+-1%3C%3Dx%3C%3D4
グラフからx=4で最大値11,x=1で最小値2をとる。(終)

差集合について

全体集合Xの部分集合をA,Bとする.
このとき,差集合を次で定義する.A \setminus B =\{ x \mid x \in A , x \notin B \}

差集合の集合算を考えたい.

まず大切なこととして,x \notin A \Leftrightarrow x \in A^{c}であることは押えておく.

命題1.
(A \setminus B ) \setminus C = A \setminus (B \cup C)

(証明)
(A \setminus B ) \setminus C \subset A \setminus (B \cup C)を示す.
x \in (A \setminus B ) \setminus Cを言い換えると,x \in Aかつx \notin Bかつx \notin Cである.
とくに「x \notin Bかつx \notin C」は「x \in B^{c}かつx \in C^{c}」である.
言い換えるとx \in B^{c} \cap C^{c}ということである.
ここでド・モルガンの法則によりx \in (B \cup C)^{c}となる.
ゆえに x \notin B \cup Cであるから,x \in A \setminus (B \cup C)である.
逆の包含関係については下から上に辿っていけばよい.(証明終)

命題2.
A \setminus (A \cap B) = A \cap B^c

(証明)
x \in A \setminus (A \cap B)とする.
これはx \in A かつ  x \notin A \cap B である.
後半について,言い換えると次の三通りのうちのどれかである.
1)x \in A かつ x \notin B
2)x \notin A かつ  x \in B
3)x \notin A かつ  x \notin B
x \in Aより,1)の場合しかありえない.
よって,x \in A かつ x \in B^cであるからx \in A \cap B^cである.
逆向きの包含関係は証明を下から上へ辿っていけばよい.(証明終)

自然対数の積分表示

高校数学3ではじめてこの積分を習う.

\displaystyle \int_{1}^{x} \frac{1}{t}dt = \log x

つまり,右辺を左辺で定義することもできるわけだ.
有名な対数の性質も左辺も証明できよう.

例.
\log x^{r} = r \log x

(解)
\displaystyle \int_{1}^{x^{r}}\frac{1}{t}dtについて,t=s^{r}という置換をおこなう.
dt = r s^{r-1}dsかつ s : 1 \to xとなる.
つまり\displaystyle \int_{1}^{x^{r}}\frac{1}{t}dt = \int_{1}^{x} \frac{1}{s^{r}}r s^{r-1}ds = r \int_{1}^{x} \frac{1}{s}ds.(終)

任意のεについて

高校ではまったく出てこないが重要な論法がある.

命題
a,b が定数で,任意の\varepsilon > 0に対して,
  a < b + \varepsilon
が成り立つならばa \leq b である.□

右辺にいくらでも小さくできる項が含まれていると,その項を取り除いても等号付きで不等号が成立する.
証明は背理法による.

(証明)
背理法を用いる.a > bであると仮定する.
このとき\varepsilon = a - b > 0ととると,\displaystyle a < b + (a - b)よりa < aとなる.
これは矛盾である.したがって,a \leq bである.(証明終)